. ページ7
side Abe
阿「翔太〜診察室入って〜」
呼んだら慣れた様子で部屋に入ってくる、病院には少し浮いた制服姿の翔太。
今日も学校帰りで診察に来たらしい。
康「もしもしするな、息吸って吐いて〜………あれ、ちょっと今日ばくばくしとるな」
翔「さっき階段登ったから。それかも」
康「そっかそっか、出来るだけ無理せんとあんま階段使わんようにな。次エコーやるから寝っ転がって」
そんな翔太を診察する主治医の康二は、今年の春研修医課程を終えたばかりのぴかぴかフレッシュマンで、
未だに抜けない関西弁と距離感バカな感じが何とも言えない憎めなさを放つ、愛されドクター。
年が近いせいもあって、翔太には完全に友達扱いされてるけどそこが又康二らしい所でもある。
康「んっ終わり。まぁ許容範囲やな。最近学校はどう?授業出れてる?楽しい??」
翔「普通……今日はだるかったから午後寝てた。
あっそうだ康二マネージャーやって良い?ダンス部の」
康「マネージャー?ええやんええやん、かっこええな!しょっぴーが踊らんかったら大丈夫やで」
今も俺はちらっと大丈夫かな?って思ったこと、康二はその場で即オッケーして、
大会とかあるん?文化祭??って同じ目線で盛り上がって。
こういう所が本当に康二らしい。
康「終わり!何かあったらすぐ病院来てな〜」
翔「大丈夫〜ありがとー」
来週ね〜って友達の家のノリで帰ってく翔太を見送って今日の外来は終わり。
阿「翔太大丈夫かな、マネージャーとか部活って…」
康「まぁ出来る範囲で!それに青春とか楽しいことやらせてあげたいじゃないですか、今の内に………」
今の内。
そう言った康二の言葉は大袈裟なんかじゃなくて、
今は元気そうに見える翔太でも手元の数値は先週より少しずつ、でも確実に悪くなってしまっている。
多分後半年もすれば入院生活を余儀なくされて、
来年の今頃、同じ季節を迎えるのは厳しいかもしれない。
そんな話を本人にしたのはつい最近のこと。
翔太は取り乱すこともなくただ淡々と受け入れて、
全部を諦めた様なその姿に却ってこっちが苦しくなった。
だからこそマネージャーの話しは心配の傍らで、少し嬉しくもあったのかも。
残された時間で翔太にも普通の高校生みたいに楽しいこと一杯やって欲しいって、俺も康二も思ってたから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 982人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夏海(プロフ) - 続き楽しみにしています(〃´-`〃) (2022年11月16日 3時) (
レス) @page34 id: d94f5675d0 (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 陰ながら応援させていただいています☆ 次回も楽しみにしています。 (2022年10月24日 16時) (レス) @page26 id: d94f5675d0 (このIDを非表示/違反報告)
夏海(プロフ) - 読んでいると世界観に引き込まれるし情景が目に浮かびます☆ 次回 楽しみにしています(〃´-`〃) (2022年10月14日 23時) (レス) @page22 id: d94f5675d0 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続き楽しみにしてます！ (2022年10月9日 1時) (レス) @page18 id: a9a7eea51c (このIDを非表示/違反報告)
名無し71262号(プロフ) - 続き楽しみにしています！ (2022年10月8日 11時) (レス) id: 2ea78d0701 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：りる＆riu x他1人 | 作成日時：2022年9月17日 8時
