愛され狐は今日も泣く

7話 ページ9

コーヒーを飲みながらゆっくりとした時間を過ごす。


「…そーいえばさー」


向かいに座る優ちゃんがカフェオレを冷ましながらちらり、と私を見る。


「千里ちゃんってお兄ちゃんと仲悪いの？？」


急なお兄ちゃんの話に一瞬手が止まる。

だけど何事もなかったようにカップをソーサーに戻した。


『仲悪い、っていうか…多分私が避けてるだけ』


そう、原因は全部わたし。

全部私のせい。


「…なんで？」


優ちゃんの純粋な疑問に声が詰まる。

私は薄く笑って口を開くことしか出来なかった。


『お兄ちゃんね、優秀だったの』


勉強も、運動も、全て。

だから…。


『私は何も出来ないくせに、お兄ちゃんが羨ましくて』

『そんな自分が嫌になっちゃって』

『お兄ちゃんといるとね、見せつけられるの』


私と、お兄ちゃんの差を。

それが嫌で嫌で…お兄ちゃんを避けるようになった。

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