愛され狐は今日も泣く

36話 ページ38

いつも通り、講義が終わった。

連絡先を交換したうらたさんは、毎日のようにLINEをくれる。

まぁ、話が途切れたら終わりになるかもしれないけど。

もう、終わるのも寂しいと思ってしまって。

私から終わらせることなんて出来なくなってしまった。

今日もすぐさまスマホを開いてうらたさんからのメッセージに目を通す。

なんでもない、友達のような会話に思わず笑みが零れる。

返信を考えながら歩いていると―――。

コツン、と足になにかが当たる。

疑問に思いながら拾い上げると、水色の定期入れに入った定期券。

え、これやばいんじゃ…。

持ち主は、もう帰ってしまったのだろうか。

そしたら、きっと探してるはずだ。

名前を見るために定期券を定期入れから出す。

そこに書かれていたのは―――。


『……椎名、蒼？』

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