【2BRO.】緑の恋《中・短編集》 (ページ7)

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染めさせて 3 ページ7

天使が舞い降りたんじゃないかと思うくらい驚いた

お「…どうして、その服を…？」

『似合ってます？』

お「似合いすぎて、びっくりしてる…」

彼女に似合うものは一目見れば分かる

そのワンピースも一目で決めた

だけど、まさかこんなに似合うなんて

綺麗だ、とても

『おついちさんが…』

頬を赤く染めた彼女が椅子に座りながら小さな声で呟く

『おついちさんが…素敵な人と出かける時に、着ていってって言ったから…だから着てきました』

お「…へ？？こ、この後素敵な人と会うの？」

勘違いした僕は震えた声で尋ねる

『違くてっ……私にとって、素敵な人だから…おついちさんは…』

少し間が空いて、彼女が付け足した

『好きなんですよ…だから、着たんですよ』

夢かと思った

僕の片想いだとばかり思っていたから

眺めていて気付いた

ワンピースの上に羽織ってるコートも、耳につけたイヤリングも、靴も、全部僕が選んだものだった

お「…染めていたつもりだけど、染められていたのは僕の方だったね。僕の心が、君色に染まってたんだ」

小さい声で言ったため、彼女には聞こえていない

『えっ？』

お「ううん、着てくれてありがとう。それに」

僕はAちゃんの目を真っ直ぐ見て、両手をとった

お「僕も好きです、付き合ってください」

緊張が手から伝わる

嬉し涙を流したから右手で拭った

Aちゃんは涙を拭った僕の手を握ってこう言った

『じゃあ…王子様？デートしましょ」

いつの日かにやった、手を差し出すポーズ

僕の目には、君がどこかの国のお姫様に見えた

お「もちろんです、僕のお姫様」

手をとって、カフェを出た

お姫様を連れて、僕たちは夜の街へ消えていった。

完