・ ページ11
一ノ瀬side
貴方「それと、一が剣持さんと畠山さんを呼んだこと。」
二人も同様に、まだ意味が分かっていないみたい。
貴方「恐らく、犯人の計画の中では、あの時紙コップを使うのは全部で30人のはずだった。専用のマグカップを使っていた蔵沢先輩を除いて、映研部員が5人。ミス研が5人。そして、雷門サッカー部が19人。5人+5人+19人で29人でしょ？でも、真壁部長一人が遅刻したことと、剣持さんたち二人が来たことが計算外だったんです。
一「事件後の調べで使っていない紙コップにも睡眠薬が入っていた。でも本当は、睡眠薬を仕込んでいない紙コップをある順番で中に入れて置いたんだよ。それを自分が取るつもりでね。でも、人数が一人増えたから、このままだと自分が睡眠薬入りの紙コップを取ることになってしまう。そこで咄嗟に……」
私は机の上にあった、砂糖の袋が入れてある紙コップを手にした。
一「ここにあった紙コップを一つとって、バレないように睡眠薬を入れ、袋を開けたばかりの31個入りの紙コップの上に重ねたんだ。自分が取る紙コップの順番を変えないために。だから紙コップは32個になっちゃったんだよ。」
美雪「でもあの時、紙コップを取る順番は特に決まってなかったよ？」
貴方「うん、確かにね。でも、上から何個目かだけ、睡眠薬が入っていない紙コップを必ず取れる人物が一人だけいたんだ。そしてそのことを……
今皆が持っている紙コップが教えてくれる。」
夏未「えっ？」
皆が一斉に自分が持っている紙コップの中や横を見始めているなか、一人だけ動かない人物がいた。
一「俺が書いておいたんだ。その紙コップに、「君がスコーピオンだ」ってね。」
今の一の発言で、また皆は自分の紙コップを見始めたけど、やっぱりただ一人、一向に見ようとはしなかった。
皆もその異変の気づき、ある人物を見つめる。
貴方「……そう、つまり真犯人は、黒河さんじゃなく、もちろん、蔵沢先輩でもない。」
美「…………」
貴方「30番目の紙コップを、最後に自然に取ることが出来た、紙コップを皆に配る役割。……つまり、貴方だよね？……遊佐、ちえみさん。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 8人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：AYANE | 作成日時：2022年3月26日 17時
