第58話「銀幕の殺人鬼」 ページ9
四葉side
四葉「あ、お兄ちゃんから。はい？」
一『四葉、映写機のスイッチ入れてくれるか？』
貴方「分かった。映写機のスイッチつけて。」
葉月「うん。」
葉月がスイッチをつけると……
映写機は音を出しながらくるくると回り始めた。
一「……こうして運ばれてきた鍵は、自動的に、蔵沢先輩の死体へ向かう。」
私たちは、黙って待っていると……
映写室の外から、お兄ちゃんの声が近づいてきた。
お兄ちゃんの言っていたことが本当なら、今このフィルムによって鍵が運ばれているはずだ。
ドアを見ていると、鍵が見えたと同時にドアが開いてお兄ちゃん達がやって来た。
剣持「おぉ……」
真壁「見えない、見えないっ！」
遊佐「……」
真壁「一番ユルくなってる時計のベルトの中にフィルムが通ってる。」
蔵沢先輩に見立てた人形の時計の間を通っていたフィルムは、鍵で引っ掛かり、鍵だけが人形の手のひらに落ちた。
ジョーカー「こんな方法があったなんて……」
一「蔵沢先輩のベルトがいつもとめている穴じゃなくて、一番外側の穴にユルユルに止めてあったのは、このフィルムを通すためだったんだ。」
一「実は、ポアロがこの謎を解くヒントをくれたんだ。」
真壁「ポアロが？」
一「部長。ポアロってラベンダーの匂いが大嫌いなんですよね？」
真壁「あぁ。」
一「あの時ポアロが吠えていた本当の理由は、鍵についていたラベンダーの匂いを嫌がっていたからなんだ。」
アキラ「そうかっ！」
遊佐「……」
一「俺が部室の出入口にまいた芳香剤の匂いが、鍵についていたんだ。そのことに気づいて、バラバラだった出来事が、一つに繋がったんだ。」
貴方「ねぇ……
どうして遊佐さんがそんなことをしたの？」
葉月「……蔵沢先輩たちが貴方に何をしたっていうんだよ！！」
遊佐「……2年前、行方不明になった本多影行は……
私の実の兄よ。」
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作者名：AYANE | 作成日時：2022年9月25日 20時
