第54話「銀幕の殺人鬼」 ページ5
葉月side
剣持「一!連れてきたぞ」
畠山さんに連れられて部室に入ってきた黒河さんは、心なしか少しやつれているように見えた。
黒河さんの登場に、僕と四葉と一以外は、少し動揺しているみたいだ。
剣持「それと、これ。」
剣持さんから紙コップを受け取った一は静かに頷いた。
一「……にしても、クーラーないとあっちぃな、この部室。」
葉月「ね、悪いんだけど、飲み物入れてくれないかな?ごめんね?」
遊佐「あ、はい。大丈夫です。」
前に私達にウーロン茶をいれてくれた時と同様、遊佐さんが皆にコップを配り始めた。
星野さんは、ウーロン茶を持ってコップが配り終えるのを待っている。
四葉「あ、ちょっと待って。まだ注がなくていいよ。」
星野「あ、はい。」
不思議そうにしながらも、星野さんはウーロン茶を置いて、もとの場所に戻っていった。
一「今皆が持ってる紙コップが、この事件の真犯人を俺たちに教えてくれる。……そう、殺人鬼スコーピオンは、この中にいる。」
全員-四葉、葉月以外「……!」
一「蔵沢先輩たちが死んだときのことを思い出して。俺達は、睡眠薬入りのウーロン茶で眠っちまった。あの時、睡眠薬入りを飲んでいない人間が一人だけいたんだ。そいつが真犯人だ。」
剣持「それ……
どういうことだ?」
一「そいつは一緒に寝たふりをして、俺たちが眠るのを待ったんだ。その後、あの密室を作り上げたのさ。」
剣持「でも、我々が飲んだすべての紙コップから、睡眠薬が検出されてるんだぞ?それは不可能じゃないか?」
四葉、葉月「いや、できるです。あるトリックを使えばね。私がそのことに気づけたきっかけは……
使われなくて余った、睡眠薬入りの紙コップの数。」
一「あの時、コップを使ってウーロン茶を飲んだのが全部で14人。15個入りの紙コップを14個使ったのなら、残りは1個になる。でも、紙コップはなぜか2つ余ってた。それは犯人が15-14=1ではなく、急遽2にしなくちゃいけなかったからです。」
畠山「15-14=2?」
四葉「その理由は、蔵沢先輩が皆を集めた時に起きた、大きいアクシデントです。」
剣持「なんだ、アクシデントって。」
四葉、葉月「真壁部長だけが、一人あの場所に来なかったことです。」
真壁「……あ?」
真壁部長は、僕と四葉が急に名前を出したせいか。
訳がわからないと言いたげに僕と四葉を見た。
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作者名:AYANE | 作成日時:2022年9月25日 20時