244時間目 ページ6
.
「どういうことだよ。A組のイベントに出るって。」
「行方不明になって心配かけたんだから言うこと1つくらい聞いてくれてもいいだろう、って…。その通り過ぎて何も言い返せず…。」
「あぁ…。」
「でも私がイベントに出ることは学秀以外知らないわ。出る時間帯も2日目の最後。特別企画とだけタイムスケジュールに書いて、その時間帯にイベントを見ていた人しか見れないようにして私が出ることで新たな売上が発生しないように条件を出したわ。」
怪訝そうに問う前原に秀華は頭を抱えたまま答える。その答えに、学秀の気持ちも分からないでもない、と全員が納得してしまう。だがしかし、そう簡単にA組の売り上げに貢献する訳にはいかない。この条件の元なら構わない、と返事をすれば学秀はあっさり了承した。
単価はそれぞれ店系は上限300円、イベント系は上限500円。E組は山の上と店としての立地は最悪に近く、材料費300円以下。加えて、A組では学秀自らが秀華を連れてイベントに参加。かなり条件は悪い。
「あと、だいたいA組がどんな戦略でくるかは聞き出したわ。あまりに規格外で、参考にはならないと思うけれど…。」
少しひきつった笑みで、秀華が語ったのはとんでもない内容だった。
全国チェーン店を経営するフード会社とのスポンサー契約。飲み食い無料に加えて、単価の高いイベント系で集客。更に知り合いの芸能人にもタダで舞台に出てもらうというものだ。
秀華の話に生徒たちは開いた口が塞がらない。学園祭でスポンサー契約を結ぶ中学生など誰が予想できただろう。
「浅野君は正しい。必要なのはお得感です。安い予算でそれ以上の価値を産み出せれば客は来ます。
E組におけるその価値とは…例えばこれ!」
殺せんせーがそう言って生徒たちに見せたのはどんぐり。裏山に多く自生しているマテバシイだ。
「君たちの機動力なら1時間あれば山中から集めてこれるはずです。」
殺せんせーの指示で生徒たちは裏山へと繰り出す。
袋いっぱいにマテバシイを集め、水につけて浮いたものは捨て、殻を割って渋皮を除き、中身を粗めに砕いたら、布袋に入れて川の水にさらすこと1週間。そこから天日干し3日間。そこから石臼でさらに細かく引いてどんぐり粉完成。これは小麦粉の代わりに使える。
「客を呼べる食べ物といえばラーメン!!これを使ってラーメンを作りませんか?」
.
515人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麗(プロフ) - 29ページ 頃について 殺せんせーに とかではないのでしょうか? (2021年5月22日 1時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - まなぴすさん» 優しいお言葉ありがとうございます!! 一人暮らしの予習だと思って頑張ってきます(料理以外てんでダメ)…( ˇωˇ ) (2021年3月4日 9時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
まなぴす(プロフ) - お母様のご様子が心配です…!無理せず自宅の方専念されてください!ずっと待ってますのでー!! (2021年3月4日 0時) (レス) id: 1ee9da6645 (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - カナナさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです(´˘`*)私もこの章大好きです!!秀華ちゃんが理事長の娘である以上、この章に力入れて書きたいと思いますので更新待っていてくださいね(^ ^) (2021年3月1日 1時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
カナナ - ざくろさんが書くお話が大好きです!!!!文の表現がとても上手で分かりやすいです。ここから私が好きな章なのでとても楽しみです。これからも無理のないよう頑張って下さい。応援してます。 (2021年3月1日 0時) (レス) id: 6af05f93ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2021年2月23日 23時