243時間目 ページ5
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「おはよう浅野さん!」
「渚君、おはよう。」
次の日。E組までの山道を登っていると、秀華は後ろから声をかけられた。振り返れば、昨日よりも遥かに明るい顔をした渚の姿。
「…なんだか、顔が明るくなったみたい。何かあったのかしら。」
「母さんがE組に残ってもいいって言ってくれたんだ!」
「そう、よかった。」
「何がよかったって?」
嬉しそうに言う渚に、秀華は優しく微笑む。すると後ろから2人はカルマに声をかけられた。
「カルマ君!」
「おはようカルマ。渚君、E組に残れるって。」
「よかったじゃん。」
「うん。ホントに一時はどうなることかと…。」
渚のE組残留を喜んで談笑しながら歩く3人。だがその雰囲気を崩すかのように、ヴーッと携帯のバイブ音が響いた。
全員が携帯を確認すると、秀華の携帯に表示された“学秀”の文字。3人とも一度顔を見合わせて、秀華はその電話に出た。その様子をカルマも渚も怪訝そうに見守る。
「…えっ、でも、それは………〜ッわかったわよ!!」
秀華の珍しく動揺した声に、カルマと渚は目を見開いた。
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椚ヶ丘学園最大行事、椚ヶ丘学園祭。儲け分は寄付になるが、商業的な実績として就活でアピールできるほどの商売合戦が繰り広げられる。故に生徒たちは必死。社会人顔負けの店も多くある。
そんな学園祭の準備期間、本校舎ではA組とE組の対決に注目が集まっていた。テストや体育祭でA組と拮抗した実力を見せたE組に対して、大きな期待を本校舎の生徒たちは持っていた。
「…ってなわけでさ。やたら本校舎が盛り上がっちゃってんだ。勝てないまでも何かE組はやるんじゃないかと。」
そう告げたのは三村だった。他の生徒たちも登下校中、本校舎の生徒たちのそういった声を聞いている。すると殺せんせーは食欲の秋なのか、大量の団子を食べながら振り向き言った。
「勝ちに行くしかないでしょう。今までもA組をライバルに勝負することで、より君たちは成長してきた。この対決、暗殺と勉強以外のひとつの集大成になりそうです。」
「…そう簡単にはいかないかもしれないよ、殺せんせー。」
しかし、カルマが自身の隣に座って頭を抱える秀華を指さしながらそう告げた。
「秀華、A組のイベントに浅野クンと出なきゃいけないんだって。」
殺せんせー含むE組全員の絶叫が、山に木霊した。
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麗(プロフ) - 29ページ 頃について 殺せんせーに とかではないのでしょうか? (2021年5月22日 1時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - まなぴすさん» 優しいお言葉ありがとうございます!! 一人暮らしの予習だと思って頑張ってきます(料理以外てんでダメ)…( ˇωˇ ) (2021年3月4日 9時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
まなぴす(プロフ) - お母様のご様子が心配です…!無理せず自宅の方専念されてください!ずっと待ってますのでー!! (2021年3月4日 0時) (レス) id: 1ee9da6645 (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - カナナさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです(´˘`*)私もこの章大好きです!!秀華ちゃんが理事長の娘である以上、この章に力入れて書きたいと思いますので更新待っていてくださいね(^ ^) (2021年3月1日 1時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
カナナ - ざくろさんが書くお話が大好きです!!!!文の表現がとても上手で分かりやすいです。ここから私が好きな章なのでとても楽しみです。これからも無理のないよう頑張って下さい。応援してます。 (2021年3月1日 0時) (レス) id: 6af05f93ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2021年2月23日 23時