正午の木漏れ日は彼女を見守る�察攬纏Χ擬次�

242時間目 ページ4

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｢お母さん、髪型も高校も大学も、親がきめるものじゃない。渚君本人が決めるものです。渚君の人生は渚君のものだ。貴女のコンプレックスを隠すための道具じゃない。｣



そう言い放った殺せんせーはカツラをﾋﾞｯと引きちぎってしまう。怒りを抑えているのだろうか、雰囲気が渚の自爆暗殺と学校の外でフリーランニングをした生徒たちを叱った時のそれだ。

殺せんせーの言葉に広海はﾋﾟｸﾋﾟｸと震えている。自分の言葉を否定されると思っていなかったからか、自分の考えを否定されたからか。そんな広海に殺せんせーは続けて言い放つ。



｢渚君自身が望まぬ限り、E組から出ることは認めません。｣



殺せんせーのこの言葉に、広海がキレた。その怒号は何を言っているのかすら分からないほどに荒々しく、狂気に満ちていた。それに圧倒されて、外から覗いていた生徒たちは顔を歪めて耳を塞いだ。

広海は散々叫んでセリフを吐き捨てると乱暴に職員室の扉を開けて出ていってしまった。



｢殺せんせー…。｣

｢うーむ…つい強めに言ってしまいました。しかし、最も大切なのは、君自身が君の意志をはっきり言うことですよ。｣

｢…！｣



秀華は自身も言われたことがあるその言葉を聞いて、空を仰いだ。同じことを言われたのに、違うことを言いたいのだと分かる。



｢…でも、今は…1人じゃ何も出来ないうちは、母さんの2周目でいた方が…。｣

｢何も出来ないわけが無い。殺す気があればなんでも出来る。君の人生の1周目はここから始まっているんです。｣



渚の解かれた髪を整えて、殺せんせーはにっこり笑いながらそう言った。この言葉に、外から様子を見守っていた生徒たちは、顔を見合わせて笑った。

だがそこに残る不安要素がひとつ。



｢秀華、この足跡…見ない足跡だよね。｣

｢…そうね。大きさからして男性、私達が普段履く上履きとも、ローファーやスニーカーとも違う。｣



草の生えていない土部分についた見慣れぬ足跡。カルマと秀華はしっかりそれに気づいていた。十中八九、殺し屋のものだろう。足跡を残すなんて随分と間抜けだが。



｢確か今日は律が殺せんせーと女のドロドロした感情を学ぶ日だったはずよ。｣

｢あー、あのドラマね。ま、こんな足跡残ってるんじゃ、殺せんせーも気づいてるっしょ。｣

｢そうね。今、心配なのは…。｣



そうぽつりと呟いて、秀華は俯く渚の方を見た。





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