249時間目 ページ11
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『昨日浅野が言ってた通りだ!渚に惚れてたユウジって、あの人気グルメブロガーの法田ユウジだったんだよ!あいつがブログでどんぐりつけ麺の事書いたみたいで客が途切れねぇ!』
「本当!?」
学園祭2日目。村松からの電話で秀華はE組が大盛況であることを知った。電話口から聞こえてくる声は賑わっており、皆が忙しなく動いている様子も伺える。
『これなら追い上げられるかもしれっておい原!』
『こっちのことは気にしないで!浅野君と踊るんでしょ?楽しんでおいで!』
「原さん…。」
村松から電話を取り上げて電話口で原が叫ぶのが聞こえた。
そう、秀華は今E組には居ない。A組の控え室として使われている本校舎の教室にいた。その姿は普段の制服姿とはうって変わって膝丈のドレス姿。藤色のサテン生地にスパンコールが、そして胸と腰、裾には細かなフリンジがあしらわれている。競技ダンス、ラテンアメリカンの衣装だ。まだメイクやヘアアレンジはされていないが、互いに多忙で練習時間を取れなかったために、2日目は朝から学秀と2人だけで練習することになっていた。
『イトナ君に頼んであるから、ダンス見てるよ!』
「ふふ、ありがとう。それじゃあ、頑張って。」
「話は終わったか?」
「えぇ。」
電話を終えると、秀華は後ろから学秀に声をかけられた。学秀もまた、ラテンアメリカンの衣装を身にまとっていた。体にぴったりと合った黒色のVネック、黒のフレアパンツというダンスウェア。
2人が踊るのは男女のペアになって踊る競技ダンス、ラテンアメリカン。幼い頃、習い事のひとつとしてこの競技ダンスに取り組んでいたのだが、今までで一番楽しかった習い事と言われたら直ぐにこれをあげる。
「音楽かけるぞ。」
「演目は?」
「チャチャチャからだ。」
そう言って学秀は自身の携帯で音楽をかける。学秀も秀華もふぅ…と一息ついて構える。
「私を使って、貴方が理事長に叱られないかしら?」
「…これは僕個人が秀華と踊りたいから、ついでに学園祭に組み込んだだけだ。」
「学秀…。」
「……行くぞ、秀華。」
2人だけの空間が、2人の支配下に置かれる。鳴り響く音楽。互いの呼吸が合わさって、2人の藤色の瞳が交差する。美しい気迫を纏って、2人は第一歩を踏み出した。
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麗(プロフ) - 29ページ 頃について 殺せんせーに とかではないのでしょうか? (2021年5月22日 1時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - まなぴすさん» 優しいお言葉ありがとうございます!! 一人暮らしの予習だと思って頑張ってきます(料理以外てんでダメ)…( ˇωˇ ) (2021年3月4日 9時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
まなぴす(プロフ) - お母様のご様子が心配です…!無理せず自宅の方専念されてください!ずっと待ってますのでー!! (2021年3月4日 0時) (レス) id: 1ee9da6645 (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - カナナさん» コメントありがとうございます!!そう言っていただけてとても嬉しいです(´˘`*)私もこの章大好きです!!秀華ちゃんが理事長の娘である以上、この章に力入れて書きたいと思いますので更新待っていてくださいね(^ ^) (2021年3月1日 1時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
カナナ - ざくろさんが書くお話が大好きです!!!!文の表現がとても上手で分かりやすいです。ここから私が好きな章なのでとても楽しみです。これからも無理のないよう頑張って下さい。応援してます。 (2021年3月1日 0時) (レス) id: 6af05f93ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2021年2月23日 23時