111時間目 ページ32
．
「興味があるのか、殺し屋の世界に。」
「あ、い、いや…そういう訳では。」
少し嬉しそうに話すロヴロ。否定する渚だが、秀華は2人の話に聞き耳を立てた。
「そうだな…俺が斡旋する殺し屋の中に
そう言って、ロヴロは静かに語り始めた。渚がその雰囲気にｺﾞｸｯ…と唾を飲む。
彼の本名は誰も知らない。ただ一言の“死神”という仇名でそう呼ばれる彼は、神出鬼没、冷酷無比。夥しい数の屍を積み上げ、死そのものと呼ばれるに至った男。それが…“死神”。
その言葉に、渚も秀華もぞくりと鳥肌が立つのを感じた。
「…では少年よ。君には“必殺技”を授けてやろう。」
「…必殺？」
「そうだ。プロの殺し屋が直接教える…“必殺技”だ。」
─────────
──────
───
「…渚くんはプロの貴方からみて魅力的ですか？」
「…秀華、といったな。」
皆が最後の練習を終えて、帰った頃。秀華は1人で校舎裏でパイプをふかすロヴロに声をかけた。
「…気配を消すのが上手い。先程の射撃能力といい作戦立案力といい、教え子に欲しいくらいだ。」
「光栄です。」
「あの渚という少年のことだったな。彼はいいものを持っている。今まで育て、斡旋してきた中でもあのレベルはそう居ない。」
ロヴロはそう言って、空を仰いだ。秀華はロヴロの言葉に静かに耳を傾ける。その姿を見て、ロヴロはふっ…と笑って秀華に言った。
「君には私と同じ才能がある。」
「え？」
「人を見る才能だ。」
「…！」
「あの少年の才能を見抜き、今回の作戦の配役も全ての人員の能力を余すことなく発揮させている。素晴らしい采配だ。」
人を見る才能。
すとん、と彼女の心にその言葉は落ちた。
「私の、才能…ですか。」
「誇るといい。我々のような指導者にとってはなくてはならない才能だ。」
「？…我々、ですか？」
自分とロヴロの2人を指すかのような彼の言葉に怪訝そうに秀華は聞き返す。それが予想外だったのか、ロヴロは目を見開いて、ｸｯｸｯ…笑った。
「皆が君を見る目はまさに指導者を見るそれだ。」
「…まさか、皆が私を？」
「いつか分かるだろう。今日の様子見ているだけでも、素晴らしい人徳を持っていることが見て取れた。」
そう言って去っていくロヴロの後ろ姿を、秀華はじっと見つめていた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 423人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ざくろ(プロフ) - ちひろさん» ありがとうございます!!テストが終わりがけに入ったのでどんどん更新していきたいと思っています!!まぁその後に実習があるのでまた更新頻度が落ちると思いますが……笑これからもよろしくお願いします!! (2021年1月28日 14時) (
レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
ちひろ(プロフ) - とっても好きです！寝る前に読んで興奮して寝付けないこととかよくあります笑更新がんばってください！ (2021年1月28日 0時) (レス) id: 5d58b6b877 (このIDを非表示/違反報告)
明里(プロフ) - 私生活大事ですので 大丈夫ですよ こちらこそ宜しくお願いしますね (2021年1月26日 1時) (レス) id: b6d4b9ddc0 (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - 明里さん» ありがとうございます！不定期な更新になると思いますが、これからもよろしくおねがいします (2021年1月26日 1時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
明里(プロフ) - 去年から見ております なかなかコメントせずすみません 業や浅野さんがお気に入りです 続き楽しみにしております (2021年1月25日 22時) (レス) id: b6d4b9ddc0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ざくろ x他1人 | 作成日時：2021年1月15日 2時
