325時間目 ページ6
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｢欲しい？｣
｢そりゃね。｣
くすりと笑う秀華に、カルマも笑って当たり前じゃん、と告げた。すると秀華はカバンの中をｺﾞｿﾞｺﾞｿとあさって、赤色に金色のリボンがかけられた箱を取り出す。その色がまるで自分の色のように感じられて、カルマはにやけそうになる口元をｽｯと手で隠した。
｢はい。ハッピーバレンタイン。｣
｢開けていい？｣
｢どうぞ。｣
秀華は顔を明るくしたカルマに優しく微笑んで、箱を開けようと歩くスピードが落ちたカルマの前に出る。
ゆっくりと金色のリボンを解いて、箱の蓋を開ければ中にはマロングラッセ。栗をシロップで煮た菓子だが、ひどく手間のかかるもので、わざわざ職人でもない素人が手作りに選ぶものでは無い。まぁ、秀華は素人とは言ってもかなりの高レベルではあるが。
｢ふーん…？｣
カルマはそのマロングラッセを見て、にやにやと笑って秀華を見た。その彼の声色に秀華の肩がﾋﾞｸｯと跳ねる。
｢…
｢…知ってたのね。｣
顔を赤くして、秀華はその菓子の意味を知っていたカルマの方を少しだけ恨めしそうに振り返った。
マロングラッセ。それはヨーロッパの方では“永遠の愛”という意味があることで知られる菓子だ。紀元前、マケドニアの英雄アレクサンドロス大王が最愛の妻ロクサネ妃のために作ったことから、ヨーロッパでは永遠の愛を誓う証として、男性が女性にマロングラッセを贈る習慣がある。日本ではバレンタインは女性から男性に菓子、主にチョコレートを送るイベントのため、今回は秀華からカルマに宛ててそれを送った。
｢随分ロマンチックじゃん。｣
｢そっ、それは…父さんがいいお菓子があるよなんて言っ｣
言ってくるから。そう言おうとしていた秀華だが、言い切ることは無かった。言い切るより前に、カルマからの口付けが秀華の口を塞いだから。
｢ありがと。｣
｢……ドウ、イタシマシテ…。｣
にっこりと笑うカルマに、今年1番の笑顔かもしれない、なんて思いながら秀華はカタコトの言葉を絞り出した。
これにてE組のバレンタインはを下ろした。
｢……え、待って？もしかして理事長、俺らが付き合ってるの知ってんの？｣
一抹の不安を残して。
そして、次は大人のバレンタイン───────…。
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LUNA(プロフ) - 面白かったです！更新楽しみに待ってますね！ (2022年1月23日 0時) (
レス) @page18 id: 255ed81601 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 続きはどこで見れますか？ (2021年12月23日 1時) (レス) id: ee7dad60ab (このIDを非表示/違反報告)
あやっち - この作品の続きのタイトルは何ですか？ (2021年11月14日 16時) (レス) id: ad4fac1b86 (このIDを非表示/違反報告)
もものはな(プロフ) - とても面白くて一気に読み進めてしてしまいました笑更新楽しみに待ってます！ (2021年8月26日 18時) (レス) id: 1e90973d0b (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - あいすさん» ありがとうございます！！なかなか更新できませんが、少しずつ進めていきたいと思います。 (2021年8月11日 18時) (レス) id: 026437a4b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ざくろ x他1人 | 作成日時：2021年4月6日 1時
