333時間目 ページ14
.
なんだか今日は落ち着かなくてね、仕事も残っているんだよ。
珍しくそんな言葉を残した學峯。何かトラブルが起きたのか、それとも単純に本当に落ち着かなかっただけなのか。秀華は疑問に思いながらも、帰宅して私服に着替えると、自分の部屋で読みかけの小説を開いた。
その時。
ぞわりとした嫌な感覚と窓から部屋を照らした閃光。
「…何、あれ……!?」
窓から覗けば、E組校舎のある山が何やらバリアの様なものに囲まれていた。秀華は慌てて、カルマに電話をかける。
『…秀華!?』
「カルマ!! 今すぐ外を見て!!」
『見てるよ…!! とにかくすぐ学校に…』
カルマの方もﾊﾞﾀﾊﾞﾀと慌てているような足音がする。秀華はすぐに制服に着替えて、学校へ向かおうとしたが烏間から届いた1通のメールがそれを止めた。自宅待機。それが烏間からの指示だった。
「自宅待機……!?」
『こんな状況で待機なんかできるわけないじゃん…！』
着替える時間さえ惜しい。秀華は私服のままコートを羽織って、部屋から出ようとした時。勢いよく部屋の扉が開いた。ﾊﾞﾝｯと勢いよく開いたそこに居たのは、彼女と同じ藤色の瞳に、焦りや不安を抱えた双子の兄。
「…学秀……！」
「秀華…テレビでE組校舎のある山が、何やら防壁に包まれているのを見た。どういうことだ。今年のE組は何かおかしい。何を隠してる!?」
「学秀、どいて…。」
「理事長のE組への干渉度も例年と違っていた!!」
「お願い…！」
「お前達…一体何を隠して」
「退いて!!」
普段の温厚な秀華からは想像できない、荒ぶった声。思わずﾋﾞｸﾘと学秀の肩が震えた。
「…お願い…通して……!! 必ず…説明するから…!!」
藤色の瞳いっぱいに涙を溜めて言う妹に、学秀は呆然とするしかなかった。思わず後ずさりして、廊下の壁にﾄﾝ、と背をつける。
その隙を通って、秀華は階段を駆け下りていった。1階では母が彼女を止める声がするが、そのすぐ後に玄関の扉を開けて出ていく音がした。
「…秀華……!!」
彼女はずっと、自分の知らないところで何をしていたのか。なにか危険なことに関わっていたのではないだろうか。
学秀の脳裏を秀華への心配が駆け巡る。リビングから微かに響くテレビに映るニュースキャスターが、政府からの緊急発表の知らせを告げていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1037人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「暗殺教室」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
LUNA(プロフ) - 面白かったです！更新楽しみに待ってますね！ (2022年1月23日 0時) (
レス) @page18 id: 255ed81601 (このIDを非表示/違反報告)
えと(プロフ) - 続きはどこで見れますか？ (2021年12月23日 1時) (レス) id: ee7dad60ab (このIDを非表示/違反報告)
あやっち - この作品の続きのタイトルは何ですか？ (2021年11月14日 16時) (レス) id: ad4fac1b86 (このIDを非表示/違反報告)
もものはな(プロフ) - とても面白くて一気に読み進めてしてしまいました笑更新楽しみに待ってます！ (2021年8月26日 18時) (レス) id: 1e90973d0b (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - あいすさん» ありがとうございます！！なかなか更新できませんが、少しずつ進めていきたいと思います。 (2021年8月11日 18時) (レス) id: 026437a4b4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ざくろ x他1人 | 作成日時：2021年4月6日 1時
