25時間目 ページ27
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「さぁ、始めましょうか。」
殺せんせーは何人にも分身しながらそう言った。分身が同時に話すせいで反響して聞こえる。
「学校の中間テストが迫ってきました。」
「そうそう。」
「そんなわけでこの時間は。」
「高速強化テスト勉強を行います。」
分身した殺せんせーが交互にそう話す。前まで3人が限界だったはずの分身はクラス全員分まで増えていた。確実に速くなっている殺せんせーに暗殺者としては焦りがあるものの、テストを控えた生徒としては心強い限りだ。なんなら、皆の苦手科目が書かれたハチマキまでしている。しかし、秀華の前に現れた殺せんせーの分身はハチマキをしていなかった。
「私はハチマキ無しなんですね。」
「浅野さんは5教科全てにおいて死角はありません。先生が保証します。なので今日は全教科の復習をしたら、もうちょっと先にいってみましょう。浅野さんが面白いくらいに教えたことを吸収するので、先生ちょっと楽しくなってきました。」
ヌルフフフ…といつもの独特な笑い方で秀華にそう告げた時、殺せんせーの分身がグニュン、と曲がった。犯人はもちろんカルマだ。
「急に暗殺しないでくださいカルマくん!!それ避けると残像が全部乱れるんです!!」
「意外と繊細なんですね…。」
殺せんせーの教え方は丁寧でわかりやすく、そこにまつわる雑談を交えたりイラストを使うことで記憶にも残りやすい。多くのその科目のスペシャリストである教師が教科担当を持った元A組の秀華でさえも、殺せんせーの教師としてのスキルは本校舎のどの教師よりも上手だと感じていた。
「この応用問題も難なく正解ですか…中間テストが楽しみですねぇ、浅野さん。ヌルフフフ…。」
「…そうですね、殺せんせー。」
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手厚いテスト対策を終えて下校時間。さようなら、と殺せんせーに挨拶をして日直であった秀華は日誌を描き始めた。今日の授業内容、欠席、遅刻、早退者。最後にその日の感想を書いて終わり。書き終えると秀華は自分のカバンを肩にかけて席を立った。
殺せんせーに日誌を渡そうと職員室の前まで来ると、その中を渚が覗き込んでいた。
「渚くん?」
「あっ、浅野さん…!!今はやめといた方が…」
渚がそう言った時だった。職員室から秀華にとっては聞き覚えしかないような声がした。
「率直に言えば、E組はこのままでなくては困ります。」
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ざくろ(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!確かに2番ですね!!!素で間違えてました!!!ご指摘ありがとうございますm(_ _)m (2021年3月16日 6時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 最近読み始め、すごく楽しく読ませていただいています。ふと気になったのですが、出席番号は2番が正しいのでは?と思いました。まだ読んでる途中なので何か別の理由があって1番にしているのであればすみません。作品楽しく読ませていただいています! (2021年3月16日 4時) (レス) id: 2946381aea (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - プロテインさん» ありがとうございます(*^^*)暗殺教室はとても好きな作品なので更新頑張って行きたいです (2020年10月22日 22時) (レス) id: fa9a4862ad (このIDを非表示/違反報告)
プロテイン - 質が高くて、キャラとの絡ませ方がお上手で、続きがとても気になります( ≧Д≦) (2020年10月22日 19時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2020年10月19日 2時