16時間目 ページ18
.
「…2年生の、ちょうどカルマが停学くらった時くらい。カルマの停学理由聞いたら、E組制度っておかしいんじゃないかな…って自分で考えてみたの。」
秀華は少し俯きがちにぽつりぽつりと話し始めた。カルマはそんな彼女の話を静かに聞いた。
「成績の悪い人たちを見下して、そうなりたくないから努力する。小学校の時はそんなシステムなかったし、違う学校ではそれをいじめがあったとして報道するし…。
考えて、やっぱりおかしいな、って感じて……理事長に直訴したの。まぁ、あんな完璧超人に口喧嘩勝てるはずもなくて…素行不良を名目にE組行きになったけれどね。」
へぇ…と言いながら、カルマは自分が嫌いだった頃の秀華を思い出した。自分の意見は言えず、消極的で、ただ脅えて、兄の後ろに隠れていたか弱い小動物のような彼女。カルマは理由はどうあれ、彼女の変わる自分がきっかけだということが少しだけ嬉しかった。
秀華は優しく笑って、今度はカルマの方を向いて言った。
「私、あの頃、カルマって意味もなく喧嘩ばっかりしてる怖い人だと思ってた。」
「なにそれ。俺自分からは喧嘩売ったりしないんだけど。」
「そうね、貴方は理由がある時しか喧嘩しない。そうわかったから、こうやって普通に話せるのかもしれない。」
「今日はよく喋るね浅野さん。」
普段の物静かな秀華からは想像できない饒舌っぷりにカルマはケラケラ笑いながら彼女を揶揄う。あの完璧超人の理事長の娘がどんな顔をして困るのか見たかった。
「なんだか、カルマと話してるとどんどん素が出てきちゃう。私、本当はお喋り好きなの!」
しかし予想外なことに、いつも自信なさげな下がり眉で困ったように笑っている秀華は満面な笑みでそう言った。不意打ちの笑顔にカルマは思わず頬が熱くなるのを感じて、思わず秀華から顔を逸らした。
「カルマ?」
「ほんっと、おにーちゃんとも理事長とも似てないね。」
顔を片手で覆いながらそういうカルマ。その言葉に秀華はいつもと同じような困り顔で「そう…。」短く呟いた。
2人はこの会話を下世話な超生物に覗き見られていたなど、知る由もない。
.
557人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ざくろ(プロフ) - ユイさん» コメントありがとうございます!!確かに2番ですね!!!素で間違えてました!!!ご指摘ありがとうございますm(_ _)m (2021年3月16日 6時) (レス) id: d0e69d8f04 (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - 最近読み始め、すごく楽しく読ませていただいています。ふと気になったのですが、出席番号は2番が正しいのでは?と思いました。まだ読んでる途中なので何か別の理由があって1番にしているのであればすみません。作品楽しく読ませていただいています! (2021年3月16日 4時) (レス) id: 2946381aea (このIDを非表示/違反報告)
ざくろ(プロフ) - プロテインさん» ありがとうございます(*^^*)暗殺教室はとても好きな作品なので更新頑張って行きたいです (2020年10月22日 22時) (レス) id: fa9a4862ad (このIDを非表示/違反報告)
プロテイン - 質が高くて、キャラとの絡ませ方がお上手で、続きがとても気になります( ≧Д≦) (2020年10月22日 19時) (レス) id: 038dc633ea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ざくろ x他1人 | 作成日時:2020年10月19日 2時