気づいて ut ページ37
擽ったい感触で目が覚める。
ぱちっと目が開くと、隣で座りながら俺の髪を触っている師匠がいた。
鬱「んぅ…し、しょう？」
『すまない。起こしてしまったか。』
鬱「いや、大丈夫！って医務室？」
覚醒した脳内で記憶を呼び起こすと、戦争で怪我をしたことを思い出した。
心臓では無いので一命を取り留めたが、あと1mmずれてたら死んでたかもね。なんて笑えないブラックジョークを言っていたペ神を思い出す。
『本来は私も国に帰るんだがな。少し野暮用があって我々国の方々に連れてきてもらったんだ。』
そう、なんか。
嬉しいなと思う反面、師匠の顔に違和感を覚えた。
ふんわりとした笑い方ではなく、無理矢理口角を上げるような。普通は気付かないんだろうけど、何となく違和感がある。
鬱「師匠、どうかしたん？」
『ん？私は大丈夫だが。』
鬱「…あっそうよな。ごめんなんか変な事言って」
『いいよ。じゃあ、私はそろそろ行かなければならないからな。ま…何でもない。』
やっぱり、違う。
今の飲み込んだ言葉は何だったの。
何でもなくないじゃないか。
師匠がまた何処かへ行ってしまう。
また、俺の前から急に消えてしまう。
いやや、そんなんいややで。折角、折角見つけたのに。なぁ、いつから？いつからそんな辛そうに笑うようなったん？
胸に重りがのしかかったように苦しくなって、咄嗟に出たのは呼び止めの言葉では無かった。
鬱「俺さ、師匠の事好き、やねん…行かん、とってや…」
言ってしまってからハッとする。
何言っとんねん。いや、は？え？俺今告白したん？
自分でもよく理解していなくて、頭がぐるぐるする。
待って、まじで？
こんなん、童○がする告白やん。
有り得へん。有り得へんって…
『…私も、鬱が好きだよ。弟子、だからな。じゃあ、安静にしとけよ。』
師匠らしい、返答の仕方だった。
ここであんな事言う方が悪かったと思う。
でも言ってしまったのは事実で、振られたのも事実。幾ら何でも、先程の告白を告白と受け取らない人は居ないしな。
返ってくる内容は大体は予想していた。
予想通りだったが、もしかしたら。なんて思ってしまっていた自分が恥ずかしい。
鬱「あ、れ…なんなん……これ…」
奥の奥から感情が込み上げてくる。
あぁ、なんで言ったんだろうという後悔とか。
振られてしまった悲しみ。
師匠を助けられなかった自分への怒り。
頑張って押し込んで来たのに吐いてしまった苦しみ。
全部が全部、嫌いになる。
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掛け軸(プロフ) - 嶺緒さん» 気づくのが遅くなってしまいすみません。面白いと言って貰えると、こちらとしても嬉しい限りです。コメントありがとうございました！ (2019年1月6日 14時) (
レス) id: c19dec969c (このIDを非表示/違反報告)
嶺緒(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白い作品でした…！！次回も楽しみにしています！ (2019年1月5日 17時) (レス) id: 27af552c6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：掛け軸 | 作成日時：2018年11月10日 18時
