27話、傍に ページ29
いざ中へ入ってみると、スヤスヤと規則正しい寝息が聞こえてくる。
ーし｢Aさんは先程お眠りになったばかりなので、無理に起こさないでくださいね。｣
今し方しのぶはそう言っていた。
しのぶのあの暗い顔…回復は見られていないのだろうか。
実弥はAのベッドの横にある椅子に腰掛け、全身包帯だらけの彼女の顔を覗き込んだ。頬が少々痩け、泣き続けたせいか目元は赤く腫れている。肌はくすんでいて血色も最悪だ。血鬼術の影響をかなり食らっているのがよく分かる。
実｢…少しずつで良いですよ。｣
眠っているAにボソリと呟くと、実弥は彼女の頭をあやすように優しく撫でた。
自分の弟妹達と接した時同様に。
実｢俺もよーく分かるぜェ。相当辛かっただろうよ、任務よく頑張ったなァ。｣
彼女には聞こえていないのに。
彼は労う言葉を呟き続けた。
すると、
Aの長い睫毛が揺れ、薄らと瞼が開いた。だが、そこに光は宿っていない。
実｢…悪ぃ。起こしましたか？｣
｢…ん、不死川、さん？｣
彼女は言うなりまた目から大粒の涙を零し始めた。
｢ごめんなさい、ずっとこんな調子で…うっ、泣き止めないんです。｣
目元をゴシゴシ擦って必死に涙を止めようとするA。その姿は威厳ある元帥とはとても思えない。
実弥は胸が締め付けられるように痛くなった。
自分にはどうしようも無い事態に逃げたくなる。けど、煉獄に託された想い、そして何より自分はー
ーAを守りたい。この酷く儚げで、自分と似た信念で戦ってきた、強く、美しい少女を。
実｢我慢するこたァありません。俺がついてます。｣
実弥は椅子から立ち上がると、Aのすぐ側にしゃがんだ。
｢不死川、さん…｣
実｢俺があなたの傍にいます…何があっても。｣
｢不死川、さん…っ！｣
Aは実弥の胸に飛び込むと、子供のように泣きじゃくった。ふわっと漂う微かなAの香り。
一方の実弥は突然の事過ぎて絶句している。顔はみるみる赤く染まり、両腕はどうしたものかと空を泳いでいる。が、そっと彼女の背中に回し、優しく包み込んだ。
実｢…気の済むまで泣けゃあ良い。｣
Aの後頭部に手をやり、ぽんぽんと優しく撫でた。彼女のそれは小さくて、実弥の手の中にすっぽり収まってしまう程。弟妹達を寝かしつける時と似たような感覚に陥った。
今日の夕日は、何故か酷く温かい。
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韓国海苔ごはん(プロフ) - 浅葱さん» ご愛読ありがとうございます。あちゃー気付かなかった！フルネーム入力しないと変換が出ないのが面倒ですよね…直しときました！ありがとうございます！ (2021年2月5日 20時) (
レス) id: 23bf08a048 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - ただ、宇髄さんだと思います。鬼滅の刃は変換が難しいので、、、、 (2021年2月5日 6時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱(プロフ) - 実弥がかっこいいし、主もかっこいいです！めちゃくちゃ励みになってます！頑張ってください！ (2021年2月5日 6時) (レス) id: 11ffe6e997 (このIDを非表示/違反報告)
韓国海苔ごはん(プロフ) - シホニャンさん» ありがとうございます！頑張ります！ (2020年8月30日 18時) (レス) id: 23bf08a048 (このIDを非表示/違反報告)
シホニャン - 実弥最高です！そっち系待ってました！！更新楽しみにしています！ (2020年8月30日 13時) (レス) id: 12fa219545 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：韓国海苔ごはん | 作成日時：2020年2月29日 18時
