あの日俺達がみた影は時間遡行軍最強のツンデレ剣姫だった。参 (ページ40)

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鶴姫の涙。ページ40

黙り込んで時の流れをゆっくりと見ていた。

私は、私は馬鹿だからよく分からない。

刀剣男士達に嫌われたくないからこの歴史を変えたくはない。

でも主の甲冑としてなら歴史を変えてでも守りたいと思ってしまう。

『こんな所で迷うなんて……私もまだまだだな。』

こんな時、私はどうすればいい。

段々と雲行きが怪しくなってくる。

きっとこれは主の兄上が亡くなり主の初陣となった合戦だ。

遠巻きにその様子を眺めていると一人の少女が城から兵を連れて走り出した。

主様だ。

『主様………』

主はとても美しかった。

黒髪をなびかせて凛々しい顔をして戦場に赴いていた。

そして確かにその身にはAと同じ甲冑をまとっていた。

次に主が出てくるのは嵐でひどい夜に泣きながら出てきたことだった。

これはきっと、恋人の越智安成が亡くなった時であろう。

波打ち際に消えていく主の涙。

そして懸命に戦うまるでフランスの女性騎士ジャンヌ・ダルクのようだ。

『…………え。』

その時初めてAはずっと泣いているのに気づいた。

頬が濡れる感触があとから強くなる。

主はとても強かった。

越智安成のために、兄上のためにこの島のために死力を使いつくして戦ったのだ。

それは誇るべき戦いであった。