花に彩る姫。 ページ38
Aが意識を失ってから数ヶ月が過ぎようとしていた。
あの時、刀剣男士達は安堵したのはいいもののAは一向に目を開きはしなかった。
生きているのに
死んでいるような青白い顔。
数ヶ月が経っても刀剣男士達は生きた心地がしなかった。
毎日Aを見に行っては花を一輪置いていった。
今では布団どころか部屋が埋もれてしまいそうだった。
彩る花たちに囲まれて眠るAは少し穏やかな顔になった。
主は毎日少しずつ治療を行っている。
なのに瞼はピクリとも動かない。
三日月「A………。お主は一体なんの夢を見ているのか……」
Aの隣に座り込み起きやしないAに話しかける。
純黒の艶やかな黒髪には純白の百合が良く似合う。
黒い巫女の装束には紅色の彼岸花が似合う。
桃色の頬には桃色の桜の花が似合う。
真っ白なその肌には牡丹が似合う。
三日月はAに優しいキスを落とした。
安らかな表情に見える苦労の顔。
こんな自分達は間違っているのだろうか。
もっとはやく、
君を手に入れることが出来たなら、もっとはやく
君の心が開いて自分たちに相談してくれたなら
君は今
微笑んで入れることが出来たのに。
美しくて愛しいA。
三日月「目を覚ましてくれ。愛しているぞ。A。」
前に君のことを月下美人のようと言ったことがある。
だってそれは本当に儚い美しさだったから。
あの儚さを
なぜ早く消せなかったのだろう。
また今日も起きないAの部屋で長居してしまった。
三日月「A………また明日だなぁ。」
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作者名：ゆきじるし。 | 作者ホームページ：http://uranai.co.jp
作成日時：2018年10月1日 6時
