あの日俺達がみた影は時間遡行軍最強のツンデレ剣姫だった。参 (ページ31)

今日:31 hit、昨日:0 hit、合計:27,969 hit

別れの早朝。ページ31

Aは自分の部屋のものを全てそのまま残しておくことにした。

元々物の数が少ないという所もあるのだが持っていけば、

きっとこの本丸を思い出してしまう、そう思ったのだ。

それは、いつも通りの早朝のことで、みんなまだ寝床にいる時間にAは

本丸から姿を消した。

表には政府の者達が待っていて主だけがAの別れを見に来た。

主はやはり心配そうな顔をして

主「A……もしかするともうここには戻ってこれなくなりますよ？」

『……大丈夫だ、主。心配しないでください。

私は孤独になれてますので。』

冷たく湿った主の手とAの手はしっかりと握手を交わし、

Aは体をひるがえした。
だがまたこっちを振り向くと

『…………あ、それと

ひとつだけお願いがあります。

本丸の者達には私のことは言わないでください。聞かれた際には適当に誤魔化しておいてください。』

主「分かりましたよ、A。

あぁ、そうだ……この御守りを持っていてください。

これは貴方の身に危機を感じた時に私に知らせてくれる特殊なものです。

無いとは思いますが、あなたの身を案じて持っていてください。」

それは紫色の神秘的な光を持つ小さな宝石のついた首飾りのようなものだった。

『…………はい。主様。

それでは私は行きます。今までありがとうございました。この御恩、生涯忘れません。

それでは。』

Aは滅多にない微笑みを見せながら政府の者達と共に去っていった。

きっと、戻ってくることは出来ない。

それでも主は

Aの無事を祈っていた。