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「俺はAの恋が成就してほしいなって」
「ダンス部で報告するルールができた時、
尚大は好きな人いないって言ってたから
もしかしたら付き合えんじゃないかって」
『やっぱりオリと付き合ってほしいんだ』
「そりゃ、好きな人同士で結ばれるべきでしょ？」
『…私がオリのこと恋愛対象として見てなくても？』
『…それでも結ばれてほしいと思うの？』
感情のまま口を動かしていたら、
泣きたくもないのに涙が出てくる。
「……っえ、ちょ、泣くなって…」
向かい合って座っていた所を立ち、
私の方へ回り込んで来てくれる光成。
「…尚大のこと、好きじゃないの？」
『…恋愛対象としては好きじゃない』
何故かほっとした顔をして隣に腰を下ろす彼。
それでも彼の視線の先は私に向いている。
『…私の恋、応援してくれてたんだね』
『ありがとう』
これは伝えておくべきだ、と思い口を動かす。
相手は光成なんだけど、という事は隠して。
「あのさ、本音が知りたいって言ったよな？」
『…？ うん』
「本音、すげー面倒くさい事なんだけど
それでも聞きたい？」
ずっと向けられていた眼差しは途端に不安そうな目に変わり、
少し目を潤ませている辺り子犬かと思う。
…どんな事でも受け止めるよ。
その思いで首を縦に振る。
「…Aに嫉妬してほしかった」
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作者名：*Usanon* | 作成日時：2020年11月8日 22時
