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その日の放課後、
たまたま掃除当番と被ってしまったから
なるべく早く終わらせたかったのに、
私の技量不足なのか同じ班員が非協力的なのか
普通よりもかなり時間がかかってしまった。
終わりの挨拶と同時に教室を飛び出し、
初めての雑務をするために風紀室へ向かう。
扉をノックしてみれば
“はい”と光成独特の低い声が返ってきた。
中に入って遅くなってしまった事を謝罪する。
『あの、遅くなってごめんね』
『言い訳になるかもなんだけど掃除当番だったの…』
何を言われてもおかしくないなって思い、
光成の顔を見れずに下を向く。
「Aは掃除真剣にやってたの？」
『うん…でももっと頑張れたのかも』
問いかけに答えてはみたものの、
確かに自分の技量不足かも、とも思ってしまう。
「真剣にやってたんだったらAは悪くないよ」
「あと、怒るつもりも更々ないよ？笑」
「ちょっと意地悪したくなっちゃった、ごめんね笑」
下を向き続けていた私の顔を覗き込みながら
私の頭を撫で、そう言ってくれた光成。
「ほら、早く仕事終わらせよ？」
…あ、光成は部活があるんじゃん。
『…ごめん、急ぐね』
鞄を投げ捨てるように置いて作業に取り掛かろうとした私を
少し強めの力で引き寄せ抱きしめる光成。
『…えっ』
「A、なんでも謝りすぎだよ笑」
「そんなに何でもかんでも謝ってたら
濡れ衣たくさん着せられちゃうよ？」
「俺はAと一緒に仕事できて嬉しいし、
部活に行けなくたって皆分かってくれるから」
『でも、光成、部活、真面目じゃん』
泣きそうになり、上手く喋れない。
途切れ途切れの声をちゃんと聞き取ってくれて
「他の日に倍頑張るし、
こんな話してる時間の方がもったいないな〜？」
なんて明るく返してくれる。
「ほら、初めての雑務なんだし楽しくやろ？」
「久しぶりにたくさんAと喋れるの楽しみだし笑」
抱きしめられたまま上を向き光成の顔を見れば、
手を離しいつの間にか零れていた涙を親指で拭ってくれた。
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作者名：*Usanon* | 作成日時：2020年11月8日 22時
