22.後夜 ページ22
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文化祭の後は後夜祭。
花火をあげるのが私たちの学校の伝統だ。
花火を一緒に見たら一生一緒にいれる、みたいな
ジンクスは残念ながらなくて。
だから海斗くんも誘ってくれたんだと思う。
「ここ、先輩に教えてもらった穴場なんだよね笑」
なんて言って連れてきてくれたのは第2資料室。
今となっては空き教室同然の場所だが、
グラウンドがバッチリ見える。
「…てか、俺でよかったの?」
「ちゃかとかと見たいとかなかった?」
不安そうに顔を覗き込んでくる海斗くん。
嫌だったら断るじゃん笑 なんて思いながら
『まあ、海斗くんだから一緒に来たかな笑』
『別の子に誘われてたら断ってたかも』
と返してみる。
パーン
花火が始まった。
一発目の花火が上がるタイミングで
海斗くんの口が動いたように見えたけど
何を言っていたかは全く聞き取れなかった。
「『綺麗だね…』」
「『笑笑』」
同時に同じ言葉を発し、同時に同じように笑う。
すごい幸せ、と思えた。
だいぶ海斗くんの事も知れてきたし、
もうそろそろ告白OKしないとな…。
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作者名:*Usanon* | 作成日時:2020年10月10日 19時