傍観者41人目 ページ42
「椿さん!聞いて下さいよ!」
「え〜今日も?飽きないねぇ」
「飽きませんよ!Aの話なら!」
「大好きなんだね。和泉Aの事」
「そりゃあもう!Aは俺の大好きで大切な親友ですから!!」
口を開けばAA。といつも自分の親友自慢。
正直もう聞き飽きるくらい聞かされてたよねぇ。
でも話す時の柊の顔を見てると、どうも断れなかった。あの桜哉でさえもね。
「椿さん。そういえば吸血鬼になってからAの匂いが気になるようになったんですよ」
「Aって…あぁ柊がよく話してる子。その子の匂い?柊ってば吸血鬼になって変態にでもなっちゃったの?」
「はあ!?ち、違いますよ!!Aは親友ですから!そんなんじゃないですからね!」
「はいはい、分かったって。で、匂いがどしたの?」
「うっ…!…なんか、前はあんな匂いしなかったのに…なんて言うか、その匂いで…やたらと喉が渇くんですよ」
「…その子、名前なんだっけ?苗字とか、」
「苗字?和泉ですよ。本当は月満のはずなんですけど、最近和泉になって…。離婚とかじゃないと思いますけど……椿さん?」
和泉A。月満A。
月満には聞き覚えが合った。
特に有名な血筋の魔術師の家系の苗字の中にあった気がする。
もしかしたら、と嫌な予想が脳をよぎる。
「…柊。その月満Aに、これからはもうあまり近づいちゃ駄目だよ」
「へ?なんでですか椿さ_」
「良いから」
「…はい、分かりました」
少し辛そうに顔を歪めた柊に申し訳なく思いながら、近くで話を聞いていたシャムに視線を送って月満Aについて調べるように指示を送った。
その次の日だった。
「若!柊がC3に捕まったとの情報が…!」
「…え?」
一緒に居た時間こそ短かったけど、それでもやっぱり僕の家族の一員だった。
__大切な…家族、だったのに。
「椿さん。柊が…」
悔しそうな桜哉の顔。ギュッと歯を食いしばっている。
そんな顔を見た僕は、察してしまった。
ふらふらとおぼつく足並みでもう居ない柊の存在を確かめるように彼との懐かしの場所へと向かう。
「柊を殺したのは、あいつがよく話してた月満Aです」
「若。月満Aの件なんですが…魔術師の月満家の人間でした」
柊は、彼の親友、月満Aに殺された。
大好きで大切な親友だった彼女に。
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まっちゃ* - とても面白い作品でついつい読みいってしまいます!後こゆきの漢字は虎に雪で虎雪ですよ! (2018年5月13日 22時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
ともね(プロフ) - 無気力★乃愛さん» 全然良いと思いますよ〜! (2016年10月2日 8時) (レス) id: 42e2ce2cff (このIDを非表示/違反報告)
無気力★乃愛(プロフ) - ともねさん» !?見下さったんですか!?あああありがとうございます!!皆様が想像していた夢主と似ていなかったりしていたら申し訳ないです…! (2016年10月1日 12時) (レス) id: 3e4f1675af (このIDを非表示/違反報告)
ともね(プロフ) - Twitterの絵見ました!上手いですね〜〜! (2016年10月1日 12時) (レス) id: 42e2ce2cff (このIDを非表示/違反報告)
無気力★乃愛(プロフ) - 詠斗さん» 嬉しいコメントとてもありがとうございます!!頑張ります! (2016年9月21日 17時) (レス) id: 3e4f1675af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力★乃愛 | 作成日時:2016年4月6日 15時