傍観者38人目 ページ39
御国視点
ポケットから小さな振動が伝わった。
「…誰からだ」
「Aちゃんだよ。めっずらし…」
オレの首に巻き付いているジェジェにそう返し、スマホを耳に当てた。
『もしもし！御国さん!?あの＿…ぁ、』
早口に流れて行く声が、途中でとぎれる。
なーんかえらく焦ってるねー。
なんて思いながら前を向くと、同じようにスマホを耳に当てるAちゃんの姿があった
「珍しいーね。君から電話掛けるなんて、
相当の緊急事態なのかな？」
何時も鋭くオレを睨みつけてきていた目には涙がたまっている。
街灯の光が当たる頬には涙が通った後の筋がきらりと光った。
『っ…どうせ分かってるんでしょう御国さん。』
「まぁね」
お得意の笑顔を向けると、苦虫をかみつぶしたような顔をしてそっぽを向いた。
うん。舌打ち、聞こえてるからね。
『…御国さっゴホッゴホコホ、っはっ…!』
肩を上下させ慌ただしく呼吸を繰り返すAちゃんの背中を摩ってあげようと手を伸ばせば、素早く叩き落とされた。
女の力で叩かれたって痛くはない。
にしても、凄い警戒のされようだな。
“姉妹“にしては似ても似つかない性格だよね、ほんと。
“姉”の方なんてオレが手を伸ばしてきても、不思議そうな顔をするだけだったのに。
まぁオレが触る前に修平に払われてたけど
オレは叩き落とされた自分の手をじっと見つめる。
叩き落とされた相手であるAちゃんは、
目をぐるぐると回し、口をはくはくと動かしている。
＿＿迷ってんだろうな。
オレにどうやって助けを求めれば良いのかを。
貴方視点
こちらに伸ばされた手をはたき落とした後。
私は迷った。
よく考えたら、私はなんて言って御国さんに助けを求めれば良いんだろう。
城田を助けてくれ？
違う。
綿貫を助けてくれ？
違う違う。
………
…………ああ、分かった。
城田と綿貫に、私と柊みたいな、哀しいめに合わさないでくれ。
私みたいに城田に重い十字(後悔)を背負って欲しくない。
「言いたい事は決まった？」
腕を組み、待ちくたびれたような御国さんがため息混じりにそう聞いてきた。
首に巻き付いているジェジェもこちらを見ている。
『…城田と綿貫を、私の二の舞にならないようにして下さい…！』
「了解」
すっと私の横を通り過ぎた御国さんは早足で路地へと入って行った。
この人絶対、全部知ってたろ…。
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まっちゃ* - とても面白い作品でついつい読みいってしまいます！後こゆきの漢字は虎に雪で虎雪ですよ！ (2018年5月13日 22時) (
レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
ともね(プロフ) - 無気力★乃愛さん» 全然良いと思いますよ〜！ (2016年10月2日 8時) (レス) id: 42e2ce2cff (このIDを非表示/違反報告)
無気力★乃愛(プロフ) - ともねさん» !?見下さったんですか!?あああありがとうございます！！皆様が想像していた夢主と似ていなかったりしていたら申し訳ないです…！ (2016年10月1日 12時) (レス) id: 3e4f1675af (このIDを非表示/違反報告)
ともね(プロフ) - Twitterの絵見ました！上手いですね〜〜！ (2016年10月1日 12時) (レス) id: 42e2ce2cff (このIDを非表示/違反報告)
無気力★乃愛(プロフ) - 詠斗さん» 嬉しいコメントとてもありがとうございます！！頑張ります！ (2016年9月21日 17時) (レス) id: 3e4f1675af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：無気力★乃愛 | 作成日時：2016年4月6日 15時
