傍観者30人目 ページ31
バッと振り返ってみるも、視界に映るのは綿貫だけ。
「…どうした?」
『…いや、なにもない…。』
感じたのは一瞬だけだったけど、気のせいとは思えない。
『じゃ、じゃあね綿貫。ブレザーは明日返す!』
「おう、じゃあな!」
私は玄関、綿貫は今来た道を戻り始めた。
あっあっなんか申し訳ない。そう思いながら家に入った。
玄関に入り、靴下を脱いで裸足になって上がる。
まずはお風呂かなー
『ただいまー』
「あ…おかえり」
『…どしたの』
迎えてくれたのは母さんの声はいつもより小さかった。
私がびしょ濡れなのに、何もツッコまない位のことでもあったのかな、うん。
えっ、てかびしょ濡れである事に触れてよ、ねぇ。
「…A、またC3に入るの?」
震える声でそう言いながら見せて来たのは大きめの茶封筒。
なんだ、露木さん。まだ渡す書類あったのね。
じゃあ私まじで話の途中に飛び出したんだ…ほんとすいません。
次会ったら本気で謝ろう。
『そうだよ。お父さんから話聞いてなかった?』
「き、聞いてないわよ!なんでっ!?C3に居たら…また…また…ッ!」
『また?何があるの?』
茶封筒がくしゃりと歪む程に手に力を入れて感情を表す母に、不格好な弧を描いくように口角を上げ下手くそな笑みを浮かべる私。
なるべく、言わないで欲しいなァ…。
「___……後悔する事になるわよ…。」
母がその言葉を発するまで、体感で10秒くらい。
実際、そんなに経っている訳ではないけれど、それ程長く思えるの位この空間は重かった。
そして、
_うん、そうだね。
私がそう答えたのは、5秒くらい。
哀しそうな顔が見えた。ごめんね、そんな顔して欲しくて言ってるんじゃないよ。
茶封筒を握る力が弱まったのを見て、母の手からぱっと奪う。
『お風呂、沸いてる?』
「…えぇ」
『そ、じゃあ風呂入ってくるね』
そう言い残して私はフローリングの廊下を歩き風呂場へと向かった。
母の言葉は全て私を心配してのもの。そして、父がこの話を母にしていなかったのも母を心配してのもの。
どちらも誰かのためを思ってとった行動。
だからこそ、余計に胸が痛くなる。
「ッ…ごめんね、A」
『ごめんね、お母さん』
そう思ってしまうぐらい、母にとっても私にとってもC3は良い思い出はなかった。
ーーー
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家族構成
母、父、姉(故人)
父は弓景の兄、C3所属。母は元C3。
姉が亡くなってからC3を抜けた
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まっちゃ* - とても面白い作品でついつい読みいってしまいます!後こゆきの漢字は虎に雪で虎雪ですよ! (2018年5月13日 22時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
ともね(プロフ) - 無気力★乃愛さん» 全然良いと思いますよ〜! (2016年10月2日 8時) (レス) id: 42e2ce2cff (このIDを非表示/違反報告)
無気力★乃愛(プロフ) - ともねさん» !?見下さったんですか!?あああありがとうございます!!皆様が想像していた夢主と似ていなかったりしていたら申し訳ないです…! (2016年10月1日 12時) (レス) id: 3e4f1675af (このIDを非表示/違反報告)
ともね(プロフ) - Twitterの絵見ました!上手いですね〜〜! (2016年10月1日 12時) (レス) id: 42e2ce2cff (このIDを非表示/違反報告)
無気力★乃愛(プロフ) - 詠斗さん» 嬉しいコメントとてもありがとうございます!!頑張ります! (2016年9月21日 17時) (レス) id: 3e4f1675af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:無気力★乃愛 | 作成日時:2016年4月6日 15時