episode44 ジェイドの完敗 ページ44
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僕の表情の変化にフロイドは警戒心を解いてAさんに話しかけた。
「オレもその時は変な奴って思ったけどね。Aに惚れたのはその後だし」
『え？いつあたしのこと好きになったんですか？』
「言わなーい。つーかまた話脱線してるけど？」
すると『はっ、そうだった』と笑顔でこっちを向き直すAさん。
……フロイドを盗られた気になってムキになっていたのに、そんな気の抜けた笑顔を見せられると文句なんて出てこなくなってしまう。
「あなたは本当、愛らしい人ですね。僕の完敗です」
僕はこの日初めて───Aさんを認めた。
『へ……あたし、何もしてませんけど』
「ええ、いいんですあなたは知らなくて。僕の心の問題ですから」
どこか敵対視していた彼女に初めて心を開いた。
好意を見せたことに本能的に危機感を感じたのか、フロイドはAさんを抱きしめる。
「ジェイド……オレ、ジェイドと争いたくない。Aはオレのだから」
「安心してくださいフロイド。そういう“好き”じゃありません」
僕は不安そうなフロイドに笑いかけながらAさんの前に立ち、深く頭を下げた。
「Aさん、どうかこれからもフロイドをよろしくお願いします。
気分屋で飽き性で、少々乱暴なところもありますが、かけがえのない僕の大切な兄弟です」
顔を上げるとAさんは、まるで海に差し込む太陽の光のようなやわらかい笑みで僕を見ていた。
『……リーチ兄弟は素敵だなぁ。
ジェイド先輩とフロイド先輩はふたりでひとつですもんね。
ぽっと出のあたしなんかじゃ到底分からない、深い絆で結ばれてるんだって感じます』
そう言うと彼女はアズールを見た。
『もちろんそれはアズール先輩も。
あたし、3人を好きになったのは見た目じゃなくてその関係性なんです。
だからこれからも、そんな3人を後ろで見守れたら幸せです』
「……後ろで、なんて言わないでくださいAさん」
『え？』
「どうか僕たちのことを『隣で』見守ってくれませんか？」
控えめな願いだと思って提案するとAさんは顔を背けた。
『本気で泣かせに来るのやめてくださいジェイド先輩』
「おや、バレてしまいましたね」
Aさんと心を通わせたこの日───僕は彼女と顔を見合わせて笑いあった。
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いお(プロフ) - たまちゃんさん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！続編を頑張って作ってますのでお楽しみに(´∀｀*)たまちゃんさんにコメントいただいてものすごくモチベーション上がってきたので頑張ります！ (2020年6月4日 19時) (
レス) id: c501ad88ac (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん(プロフ) - いつも読むたびに心臓持っていかれます！ありがとうございます！毎日更新していただけるだけでありがたいので、体調に気をつけながら頑張ってください。 (2020年6月2日 23時) (レス) id: 51974ad0e9 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リリココさん» こちらこそコメントありがとうございます！毎日1ページずつの更新で申し訳ないですが、気長にお待ちいただけたらと思います！ (2020年5月24日 20時) (レス) id: a37cd3531f (このIDを非表示/違反報告)
リリココ - あー！きゅんきゅんが暴走します！ありがとうございます！ (2020年5月22日 20時) (レス) id: 6a5c4fc28d (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - さくらさん» 今から第4章に突入する予定なので、ジェイドとの話も入れ込めるようでしたら書いていきたいと思います！ (2020年5月17日 16時) (レス) id: e94c62de6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いお
| 作成日時：2020年5月8日 22時
