episode43 ジェイドの本音 ページ43
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無事カリムさんに怪しまれることなく“お話”ができた。
アズールたちが待つ談話室に向かうと何やら声が聞こえてきた。
「僕がリーダーとして間違った、あるいはつまらない判断をした時は───2人はあっさり僕から離れ、寮長の座を奪うはずです。
まあ、挑まれても負ける気はしませんが」
「オレらも挑む予定はないけどねー、今のとこは。あはっ」
一見、血も涙もないような双方の発言。
ユウさんは怪訝な顔をし、グリムさんは「オクタヴィネル怖いんだゾ」と震えている。
まあ、妥当な反応ですよね。
「……っ!?」
ところが、隣にいるAさんはにこやかに微笑んでいる。
その時全て察した。
ああ、この人は全部“分かって”いるんですね。
僕たちの複雑そうに見えて単純な───口ではそう言っても、たぶん一生一緒にいるであろう関係に。
どうやら僕は彼女を見くびっていたらしい。
彼女は物事の本質を見極めることができるんだと。
だとすれば得体がしれないと壁を作っていた僕の方がずっと愚かだ。
「おっ、なんだお前ら、まだ遊んでるのか?」
「えっ?」
談話室を訪れたカリムさんに驚くジャミルさん。
彼とお話したとアズールに伝えると、ジャミルさんは慌ててカリムさんを連れて部屋に戻っていった。
彼らの姿が見えなくなってから、僕はAさんに向き直った。
「Aさん」
『はい』
「僕はあなたのことが嫌いでした」
「「「「!!?」」」」
僕の直接的な発言に驚く一同。
「はあ?いきなりなんだよジェイド」
喧嘩を売られたと勘違いしたフロイドが僕に近づいてきたけれど、Aさんが服の裾を掴んで止めた。
『それはなんとなく分かってました。
というかもっともな意見だと思います』
「なんでAは平気なの?嫌いとか言われたら嫌な気分になるじゃん」
『だって初対面で推しですとか言われて詰め寄られたら普通頭おかしいって思うでしょ?
むしろ受け入れてくれたフロイド先輩の方が変わってますよ』
吹き出す様に無邪気に笑う彼女。
あれだけ鼻についていた笑みだったのに、一度認めてしまえばとても華やかに見えて僕の心まであたたまった気がした。
……どうしてこんな魅力的な人間を嫌いになれると思ったんだろう。
もういっそ受け入れてしまおう、僕も皆と同じように彼女に惹かれているんだと。
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いお(プロフ) - たまちゃんさん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます!続編を頑張って作ってますのでお楽しみに(´∀`*)たまちゃんさんにコメントいただいてものすごくモチベーション上がってきたので頑張ります! (2020年6月4日 19時) (レス) id: c501ad88ac (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん(プロフ) - いつも読むたびに心臓持っていかれます!ありがとうございます!毎日更新していただけるだけでありがたいので、体調に気をつけながら頑張ってください。 (2020年6月2日 23時) (レス) id: 51974ad0e9 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リリココさん» こちらこそコメントありがとうございます!毎日1ページずつの更新で申し訳ないですが、気長にお待ちいただけたらと思います! (2020年5月24日 20時) (レス) id: a37cd3531f (このIDを非表示/違反報告)
リリココ - あー!きゅんきゅんが暴走します!ありがとうございます! (2020年5月22日 20時) (レス) id: 6a5c4fc28d (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - さくらさん» 今から第4章に突入する予定なので、ジェイドとの話も入れ込めるようでしたら書いていきたいと思います! (2020年5月17日 16時) (レス) id: e94c62de6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2020年5月8日 22時