episode15 絆されたのはどっち？ ページ15
.
『あの、フロイド先輩』
「なに、オルカちゃん」
濡れた服から着替えたあたしは帰ろうと思い、その前にラウンジでくつろいでいるフロイド先輩に声をかけた。
もう変身薬を飲んでいるから人間の姿だけど、髪が濡れて色気が倍増していた。
水も滴るいい男ってこういうことを言うんだな。
『ありがとうございました。今日の先輩カッコよかったです。
あたし、先輩に出会えて幸せ者ですね』
あたしの煩悩はさておき、笑顔でお礼を告げると先輩は目を大きく開いて驚いた顔をした。
「……ほんっと、そういうとこズルいよね」
『え？……っ』
するとグイッと腕を引っ張られソファーに引き寄せ、その拍子に後頭部を押さえつけられて───噛み付くようなキスをされた。
……え？キス……？
ちょっと待って、状況が理解できない。
「……ねえ、早く振り払わないと続きしちゃうけどいいの？」
『え……うわぁぁ!!』
あまりの衝撃に固まっていると、服の中に手を入れてきたのであたしは焦って大声を発した。
「アハハハ！すっげぇ声！」
『も、もういい加減にしてください！せっかくカッコイイと思って見直したのに最低！』
「おもしれー、オルカちゃん。てか顔真っ赤で最低とか言われても説得力ねえよ？」
『う…うぅ、帰ります！さよなら！』
「はーい、また明日ね、A」
赤面していることを指摘されて恥ずかしかったあたしはフロイド先輩に背を向けて帰路に着いた。
『推しがズルい……！』
オクタヴィネル寮を出て、あたしは道端にしゃがみ込んだ。
唇にはまだ感触が残っていて、あれは幻じゃないんだと実感する。
いつか飽きられるかもしれないのに、経験のないあたしは本気で好きになってしまいそうで頭を抱えた。
───
その直後、モストロ・ラウンジにて。
「フロイド、どうしました？」
「うるせえジェイド、今こっち来んなよ」
「……おや、顔が茹で上がったエビのように真っ赤ですね」
「あー！だからこっち来んなって言ったのに！」
「フフ、Aさんを手懐けるつもりが絆されてしまったんですね？
こんなフロイドを見るのは初めてなので楽しいです」
「マジうるせえ……黙って」
フロイド先輩はあたしと同じくらい赤面していて、ジェイド先輩にからかわれて恥ずかしそうに顔を両手で覆っていた。
episode16 サバナクロー→←episode14 人魚のフロイド
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1932人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いお(プロフ) - たまちゃんさん» 嬉しすぎるコメントありがとうございます！続編を頑張って作ってますのでお楽しみに(´∀｀*)たまちゃんさんにコメントいただいてものすごくモチベーション上がってきたので頑張ります！ (2020年6月4日 19時) (
レス) id: c501ad88ac (このIDを非表示/違反報告)
たまちゃん(プロフ) - いつも読むたびに心臓持っていかれます！ありがとうございます！毎日更新していただけるだけでありがたいので、体調に気をつけながら頑張ってください。 (2020年6月2日 23時) (レス) id: 51974ad0e9 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リリココさん» こちらこそコメントありがとうございます！毎日1ページずつの更新で申し訳ないですが、気長にお待ちいただけたらと思います！ (2020年5月24日 20時) (レス) id: a37cd3531f (このIDを非表示/違反報告)
リリココ - あー！きゅんきゅんが暴走します！ありがとうございます！ (2020年5月22日 20時) (レス) id: 6a5c4fc28d (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - さくらさん» 今から第4章に突入する予定なので、ジェイドとの話も入れ込めるようでしたら書いていきたいと思います！ (2020年5月17日 16時) (レス) id: e94c62de6b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いお
| 作成日時：2020年5月8日 22時
