109話 炎柱と炭治郎 2 ページ13
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お兄ちゃんは般若のような恐ろしい顔をしていた。
え?もしかしてあたしと煉獄さんが抱きしめあってたから勘違いしたの!?
離れようとしたけれど煉獄さんは手を離さなかったから、あたしは代わりに言葉を発した。
『待って、誤解だよお兄ちゃん!あたしたち別に───』
「ハッハッハ、すまない竈門少年!勘違いしてしまうのも無理もない。
だが安心しろ、君の大事なの妹に手を出そうなど思っていない」
『そうだよお兄ちゃん!あたしと煉獄さんは7つも歳が離れてるんだよ!?
煉獄さんから見たらあたしは妹みたいなものだよ』
あっけらかんと笑う煉獄さんに加勢するように声を発すると、お兄ちゃんは般若のような表情を解いた。
「はっ、俺こそすみません、勝手に屋敷に上がった挙句失礼な態度を!」
ほっ。よかったいつものお兄ちゃんに戻った。
「気にするな、俺は竈門少年に会えて嬉しいぞ!
ところでどうしてこちらに?」
「偶然任務がこの近くであったので寄ってみたんです。
つい先日別れたばかりなのに、もう2人に会いたくて」
『あたしもお兄ちゃんに会いたかったよ!お兄ちゃん大好き!!』
あたしは照れくさそうに笑うお兄ちゃんに突撃して抱きついた。
「……Aは変わらないなあ」
お兄ちゃんは馴染みのある手つきであたしの頭を撫でてくれた。
その後お茶を飲みながら近況を話し合っていると、お兄ちゃんがかしこまって煉獄さんと向かい合った。
「……煉獄さん、俺に稽古をつけてください」
「ふむ、なるほど。君はそのために来たんだな?」
煉獄さんはお兄ちゃんの瞳を見てそれを見抜いた。
「はい、失礼を承知で直談判しに参りました。
お恥ずかしながら、今の俺は確実に妹のAに劣っています。
俺は昔から努力だけが取り柄です。
努力を積み重ねて強くならないことには、伝説の稀血であるAを守ることもできない。
どうか俺に稽古をつけていただけないでしょうか」
お兄ちゃんの瞳は曇がなく真っ直ぐだ。
……煉獄さんはどうするんだろう、と彼に視線を向けると、にっこりと笑顔を見せた。
「2人とも惚れ惚れするほどいい眼をしているな。
よく似ている、その秘めたる強さも優しさも。
……いいだろう、ただし俺はまだ療養の身だ。
全力ではないが、君の熱意に応えられるよう誠心誠意向き合う!」
「あ、ありがとうございます!!!」
こうしてお兄ちゃんは煉獄さんに直接稽古をつけてもらうことになった。
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まゆ(プロフ) - 続きが気になります!更新楽しみにしています! (2022年5月9日 22時) (レス) @page42 id: d503357f65 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴぽ - やば‥泣いた………… (2022年1月16日 15時) (レス) @page42 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
*舞夜*(プロフ) - とても面白かったです!! 煉獄さんがいつ自分の気持ちに気づくかとても楽しみです!! 主人公も早く煉獄さんに落ちてほしい( ´罒`*) 更新頑張ってください!待ってます!! (2021年11月9日 1時) (レス) @page42 id: a1507cd74d (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - めちゃくちゃ良かったです!続きが気になります!( °∀°) (2021年10月27日 16時) (レス) id: f55d613724 (このIDを非表示/違反報告)
#きのこ - ああああ尊いです 更新頑張ってください('ω')ノ 応援しています(^^♪ (2021年10月13日 15時) (レス) @page42 id: c964701d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2019年10月14日 15時