117話 堕姫 ページ21
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お兄ちゃんとあたしは、お世話になった鯉夏さんに挨拶してときと屋を去ることにした。
『お兄ちゃん』
「なんだ、A。……どうした、顔色が悪いぞ!やっぱりさっき飲んだ藤の毒が…!」
『違うって、何か嫌な予感がするからあたし、ときと屋に戻る!
杞憂ならすぐ戻ってくるから』
「あ、A!」
ときと屋に立ち込めていた鬼の気配に気になったあたしは、ときと屋に引き返し鯉夏さんの部屋を覗いた。
案の定、おぞましい鬼気の女の鬼が鯉夏さんの背後をとっていた。
「そうよ、忘れないように食っておかなきゃ。
アンタは今夜までしかいないから。ねえ、鯉夏」
『……“堕姫”!!!』
「!!?」
あたしはその鬼の名を呼び、こちらに注意を引き付けた。
少女鬼譚に上限の鬼の名が記されていたからその女の鬼の名は知っていた。
「くっ……眩しっ……アンタ、何者だ!!?……その髪……」
あたしが刀を抜き斬りかかると、帯で防御されてしまった。
堕姫はすぐさま体制を整えると、あたしの顔をまじまじと見つめた。
「そうか、赤みがかった髪に赤い瞳……お前が伝説の稀血だね!
驚いた、本当に毒で匂いを消しているなんて。
小癪なことを……」
『……』
「それにしてもお前は美しいね。
澪には劣るけど、その端正で勝気な美貌は褒めてあげる」
『……澪?』
澪とはもしかすると、150年前に生まれた伝説の稀血のこと?
一瞬、ほんの一瞬考えたその時間の間に、堕姫は目にも止まらぬ速さであたしの間合いに入り、鯉夏さんをかっさらった。
しまった!
『お兄ちゃん!』
「分かってる!」
彼女の攻撃を防ぎながら声を上げると、窓のふちに現れたお兄ちゃんの姿を見た堕姫がピタリと止まった。
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まゆ(プロフ) - 続きが気になります!更新楽しみにしています! (2022年5月9日 22時) (レス) @page42 id: d503357f65 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぴぽ - やば‥泣いた………… (2022年1月16日 15時) (レス) @page42 id: d39a98933d (このIDを非表示/違反報告)
*舞夜*(プロフ) - とても面白かったです!! 煉獄さんがいつ自分の気持ちに気づくかとても楽しみです!! 主人公も早く煉獄さんに落ちてほしい( ´罒`*) 更新頑張ってください!待ってます!! (2021年11月9日 1時) (レス) @page42 id: a1507cd74d (このIDを非表示/違反報告)
いぎ - めちゃくちゃ良かったです!続きが気になります!( °∀°) (2021年10月27日 16時) (レス) id: f55d613724 (このIDを非表示/違反報告)
#きのこ - ああああ尊いです 更新頑張ってください('ω')ノ 応援しています(^^♪ (2021年10月13日 15時) (レス) @page42 id: c964701d6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2019年10月14日 15時