検索窓
今日:26 hit、昨日:1 hit、合計:1,473,104 hit

95話 炎柱の復活 ページ48

side しのぶ



炭治郎さんが行方不明になってから半日が過ぎた。

すでにAさんの鴉から彼がどこに向かい、いつ帰ってくるかの目処は聞いていたからさほど心配はしていない。

私が不安視しているのは目の前で横たわる煉獄さんの容態だ。



「うっ……ぐぅ……!」



煉獄さんの顔色が良くない。

経過は良好のはずなのに熱が高く額は汗ばんでいる。

時々うわ言を言っては苦しそうに表情を歪める。



「煉獄さん、聞こえますか?
苦しいですか?どこか痛みますか?」



そう話しかけると、ブツブツと口の中で呟いていた彼は、ついにはっきりと言葉にした。



「……A……!」



口に出たその言葉に思わず驚愕したその時。



『煉獄さん、あたしはここですよ』



いつの間にか蝶屋敷に戻り、部屋に入ってきたAさんが彼の手をぎゅっと握る。

その途端、すぅっと眉間のシワがほどけ穏やかな顔に変わった。

……脈も正常に戻っている。



『煉獄さん、今日はあなたのお父様に会いました。
あなたの言った通り、立派なお方でしたよ』



私は憂いある顔で話しかける彼女を見て驚いた。

欠損していたはずの腕が指先まで再生している。



「Aさん!?あなた、腕が……!」

『しのぶさん、まず勝手に蝶屋敷を抜け出してごめんなさい。
兄を追って煉獄さんの生家に行ってきたんです。
そこで彼の父に会いまして……』



私はAさんの口から事の顛末を聞いた。



「炎柱の家系が伝説の稀血と関わっていたんですね。
そうですか……分かりました。
あなたが無断で外出した件に関しては許します。
今はなるべく煉獄さんの傍にいてあげてください」

『あ…ありがとうございます』



怒られると思っていたのか、びっくりしたように目を見張るAさん。

彼女は深く頭を下げると、煉獄さんと向き合った。



『早く悪夢から抜け出してください。
あたしはここにいますから、煉獄さんが目を覚ますまで待ってますから』



あまりにも健気な彼女の姿に胸が痛くなって、私は病室から離れた。



『目を覚ましたら、煉獄さんの大好物のさつまいもいっぱい食べましょうね!
今のうちから用意しておきますから』



そうやってAさんが笑顔で声をかけ続けたその夜。






ついに煉獄さんが意識を取り戻した。

96話 炎柱の復活 2→←94話 煉獄家 4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (771 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2042人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 逆ハー , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

- いえいえ、先走っていたのですみませんっ!!(スライドイング土下座!) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 林さん» すみません製作途中だったので限定公開にしてました!解除したのでぜひ見に来てくださいd('∀'*) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 992332b5ce (このIDを非表示/違反報告)
- ログインユーザーじゃないから次回作読めないですわ……でも読めなくても応援してます!(そもそもメアドとかがありませんしね、私 (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リザさん» コメントとお心遣いありがとうございます(*゚∀゚*)毎日更新で頑張ります! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - mayumiさん» 返信遅れてすみません!その件に関しては今後解説していこうと思ってます!! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:いお | 作成日時:2019年9月13日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。