92話 煉獄家 2 ページ45
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酔いが回っているのか、あたしを誰かと間違えたみたいだ。
彼は何かを振り払うかのように首を振った。
「……お前その羽織、杏寿郎の継子か。
隻腕の分際でよく鬼殺隊を名乗ったものだ。
どちらにしろあいつはもう剣士としては使えん。
役立たずのまま杏寿郎はいずれ死ぬ」
煉獄さんの父は心無い言葉で自分の息子を罵る。
千寿郎くんはそれを聞いて泣いていた。
「……ちょっと!あまりにもひどい言い方だ、そんな風には言うのはやめてください」
お兄ちゃんは堪らず彼の言葉に待ったをかける。
煉獄さんの父親はお兄ちゃんを見た途端、表情をひきつらせ、驚きのあまり酒瓶を落とした。
「お前…そうかお前…日の呼吸の使い手だな!?そうだろう」
「日の呼吸……なんのことですか?」
指をさし動揺すると、瞬時に明らかな敵意に切り替わる。
あたしは自分の速さを生かしその人とお兄ちゃんの間に割って入った。
彼は大きな手で容赦なくあたしの頭を地面に押し付けた。
「A!」
「……弱者が!弱いくせに兄を庇うな!無意味な慈悲の先にあるのは死だ!」
……弱者、その言葉に猗窩座を思い出した。
ふつふつとした怒りがあたしの心情の奥底で煮えたぎる。
「父上、やめてください!その人は兄上を庇って腕を失くしたんです!
命懸けで兄上を守った人になんてことを……!」
「うるさい黙れ!!」
目の前で千寿郎くんが殴打され、怒りが頂点に達した。
「いい加減にしろ、この人でなし!!Aを離せ!」
するとその時、信じられないことが起こった。
燃えるような熱が左腕を襲う。
次の瞬間、メキメキと音を立てて欠損した左腕が指先まで再生した。
それはまるで鬼の如く。
『不用意に人を傷つけるなんて許さない!!!』
あたしは再生した左手を使って渾身の力で彼を跳ね除けた。
……動く、神経までちゃんと通っている。
「A!!?腕が……!」
「(腕が再生した……まるで鬼だ。いやしかし、異様な甘い匂いがするだけで気配は人間…… “甘い匂い”!!?)
お前……お前、伝説の稀血か!!?」
父親はわなわなと震え出したかと思うと、まるで親の仇を見るかのような目で怒り狂った。
「疫病神が!!!鬼に与する裏切り者!!!」
それは伝説の稀血の秘密を紐解く鍵になる怒りだった。
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林 - いえいえ、先走っていたのですみませんっ!!(スライドイング土下座!) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 林さん» すみません製作途中だったので限定公開にしてました!解除したのでぜひ見に来てくださいd('∀'*) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 992332b5ce (このIDを非表示/違反報告)
林 - ログインユーザーじゃないから次回作読めないですわ……でも読めなくても応援してます!(そもそもメアドとかがありませんしね、私 (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リザさん» コメントとお心遣いありがとうございます(*゚∀゚*)毎日更新で頑張ります! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - mayumiさん» 返信遅れてすみません!その件に関しては今後解説していこうと思ってます!! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2019年9月13日 21時