88話 人ならざる者 2 ページ41
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やがてアオイさんに連れられしのぶさんが病室にやってきた。
しのぶさんは深刻な顔をしていた。
「Aさん……!?」
『しのぶさん!煉獄さんは!?お兄ちゃんは無事ですか?』
「落ち着いてください、2人とも無事です。
重傷ですが命に別状はない程度です。
問題なのはあなたです」
『え?』
「ここに来た時、あなたはすでに意識を失っており、大量に失血していたため
左腕は斬られたのではなく引きちぎられたような酷い傷だったため、縫合も困難でしたがあなたは現に意識を取り戻している。
……奇跡としか言えません」
『……そう、ですか』
「きっと傷の痛みに目を覚ましてしまったんですね。
頭もぼーっとしてるでしょう?
アオイに痛み止めを処方してもらいましょうね」
『あの、それがまったく痛くないんです。
意識もこの通りはっきりしてますし。
麻酔が効いているのかと思ったんですが違うんですか?』
現状を伝えるとしのぶさんは眉をひそめ、そして一時考えると、どこを見ているか分からないような焦点の合わない瞳でささやいた。
「アオイ、Aさんの包帯を解いてください」
「な、何言ってるんですか!?まだ傷は塞がってませんし感染症の危険だってあります!」
「伝説の稀血は普通の人間とは違う、私はそれを忘れていました。
彼女をただの人間という枠で捉えてはいけません」
アオイさんは言葉の意味を飲み込むと、慎重にあたしの腕の包帯を解いた。
「信じられない………」
「こんなことって……!」
『え!?』
あたしたちは衝撃を隠せなかった。
「もう傷口が塞がっている。ありえない」
そこには引きちぎられてできた裂傷はなく、皮膚が完璧に癒着していた。
まるで怪我から数ヶ月経った状態のようだ。
「……にちか様から“少女鬼譚”をお借りしました。
あなたがまだ読んでいない2巻の方です」
しのぶさんは驚きを隠しきれない様子であたしと目を合わせた。
「そこには、伝説の稀血には人知を超えた異常な再生能力が備わっていると書かれていました。
ひょっとして……」
しのぶさんの次の言葉を待っていたその時だ。
ぐぅぅぅぅ
『え!?あ……すみませんお腹の虫が……』
なんとあたしのお腹が盛大に鳴った。
恥ずかしさのあまりうつむいていると、しのぶさんは「募る話もなんですからご飯を食べましょう」と言ってくれたので甘えることにした。
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林 - いえいえ、先走っていたのですみませんっ!!(スライドイング土下座!) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 林さん» すみません製作途中だったので限定公開にしてました!解除したのでぜひ見に来てくださいd('∀'*) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 992332b5ce (このIDを非表示/違反報告)
林 - ログインユーザーじゃないから次回作読めないですわ……でも読めなくても応援してます!(そもそもメアドとかがありませんしね、私 (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リザさん» コメントとお心遣いありがとうございます(*゚∀゚*)毎日更新で頑張ります! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - mayumiさん» 返信遅れてすみません!その件に関しては今後解説していこうと思ってます!! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いお | 作成日時:2019年9月13日 21時