86話 猗窩座 5 ページ39
side 無惨
「御報告に参りました、無惨様」
懐かしい甘い匂いが鼻腔をくすぐる。
猗窩座が手にしているのは、私が喉から手が出るほど欲していたものだった。
人間の女のものと思われる血まみれの左腕。
間違いない、伝説の稀血の身体の一部だ。
「……伝説の稀血に遭遇したのか？」
「はい、鬼殺隊として生きていたため、13を過ぎても雑魚鬼に殺されることなく生き長らえていたようです」
「そうか、うまく感知できない鬼狩りがいるとは思ったが、伝説の稀血だったか。
ではその子どもに炎柱の殺害を邪魔されたのか？」
「っ……申し訳ありません」
……なんという運命の皮肉。
今回の伝説の稀血は“そちら側”についたのか。
「そうか……それで、例のものは見つけたか？」
その後涼しい顔で報告をする猗窩座の態度が癪に触ったものの、吐血する程度で済ませてやった。
柱も殺せない上弦など生かしておく価値もないが、やはりこの甘い匂いを嗅ぐと気分がいい。
それに伝説の稀血を見つけるというひとつの願いが叶ったのだ。
たまには大目に見てやろう。
「まさか柱でもない剣士から一撃を受けるとは。
上弦の参も落ちたものだな」
猗窩座は肩を震わせ反応した。
「猗窩座」
「……はい」
「齢13を過ぎた上で生きた状態の伝説の稀血を見つけだしたことだけは褒めてやろう。
だが、次は確実に捕らえてこい。分かったなら下がれ」
命ずると猗窩座は視界から消えた。
私は奴が置いていった少女の腕を拾い、指に付着した血を舐めた。
「……いい香りだ、甘美な味に血が踊る」
幸福の記憶と一致する匂いと味。
私は昂る気持ちを隠せなかった。
「ああ……実に100年ぶりだ、長かった。
……早くお前に会いたい。
今度こそ失わぬよう大切にしよう」
100年前、鬼狩りに殺された最愛の稀血を“蘇らせる”。
全てはその宿願を果たすために。
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林 - いえいえ、先走っていたのですみませんっ！！(スライドイング土下座！) (2019年10月14日 16時) (
レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 林さん» すみません製作途中だったので限定公開にしてました！解除したのでぜひ見に来てくださいd('∀'*) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 992332b5ce (このIDを非表示/違反報告)
林 - ログインユーザーじゃないから次回作読めないですわ……でも読めなくても応援してます！(そもそもメアドとかがありませんしね、私 (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リザさん» コメントとお心遣いありがとうございます(*ﾟ∀ﾟ*)毎日更新で頑張ります！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - mayumiさん» 返信遅れてすみません！その件に関しては今後解説していこうと思ってます!! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いお
| 作成日時：2019年9月13日 21時
