82話 猗窩座 ページ35
.
土埃が風で流れると、現れたのは鬼だった。
薄紅色の髪に嫌な光を放つ黄色い瞳、身体中には刺青のような紋様が入っていた。
あたしはその瞳を見て驚いた。
……上弦の、参？
そいつの顔を見た時、胸騒ぎの正体はこれだと直感した。
鬼は視界にあたし達を捉えると、真っ先にお兄ちゃんを狙った。
『お兄ちゃん！』
炎の呼吸 弐の型 昇り炎天
あたしが叫んだその瞬間、煉獄さんはすでに反応して鬼の拳から肘にかけて斬っていた。
「いい刀だ」
距離を取った鬼の腕はすでに再生している。
……下弦の肆でさえこんなに再生は早くなかった。
もはや異常だ、これが、上弦……。
「なぜ手負いの者から狙うのか理解できない」
「話の邪魔になると思った。俺とお前の」
「君と俺が何の話をする？初対面だが俺は既に君のことが嫌いだ」
「そうか、俺も弱い人間が嫌いだ。弱者を見ると虫唾が走る」
「俺と君では物事の価値基準が違うようだ」
「そうか、では素晴らしい提案をしよう。
お前も鬼にならないか？」
煉獄さんはまっすぐ相手を見つめはっきり「ならない」と口にした。
すると鬼は練り上げられた闘気から煉獄さんを柱だと見抜いた。
「俺は炎柱、煉獄杏寿郎だ」
「俺は猗窩座。杏寿郎、なぜお前が至高の領域に踏み入れないかを教えてやろう」
猗窩座、と名乗った鬼は人間は老いるからだと言った。その答えに対し煉獄さんはこう答えた。
「老いることも死ぬことも、人間という儚い生き物の美しさだ。
老いるからこそ死ぬからこそ、堪らなく愛おしく、尊いのだ。
強さというものは、肉体に対してのみ使う言葉ではい。
この少年は弱くない、侮辱するな」
煉獄さんは今一度鬼にならないと断言すると、鬼は血鬼術を発動し構えた。
「鬼にならないなら殺す」
瞬きをした後にはもう2人は衝突していた。
だめだ！戦ったらきっと煉獄さんは……！
だけど何もできすあたしは立ち尽くした。
……どう足掻いても2人の間合いに入ることなんてできない。
するとお兄ちゃんが腹這いで動き出した。
『だめだよそんな体で！加勢ならあたしが！』
「2人とも動くな！竈門少年は傷が開いたら致命傷になるぞ!!待機命令!!」
「弱者に構うな杏寿郎!!
ん？……女の方は妙な匂いがする。稀血だな!?
お前を殺した後、あの女は無惨様への捧げものにしよう！」
「ふざけるな！」
「そうだ!!全力を出せ、俺に集中しろ!!」
2人の技は更に激しく衝突した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2042人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
林 - いえいえ、先走っていたのですみませんっ！！(スライドイング土下座！) (2019年10月14日 16時) (
レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 林さん» すみません製作途中だったので限定公開にしてました！解除したのでぜひ見に来てくださいd('∀'*) (2019年10月14日 16時) (レス) id: 992332b5ce (このIDを非表示/違反報告)
林 - ログインユーザーじゃないから次回作読めないですわ……でも読めなくても応援してます！(そもそもメアドとかがありませんしね、私 (2019年10月14日 16時) (レス) id: 15da3cb52a (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - リザさん» コメントとお心遣いありがとうございます(*ﾟ∀ﾟ*)毎日更新で頑張ります！ (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - mayumiさん» 返信遅れてすみません！その件に関しては今後解説していこうと思ってます!! (2019年10月13日 10時) (レス) id: 592ede7792 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いお
| 作成日時：2019年9月13日 21時
