満月の夜に【ワンピース】 (ページ6)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:8,839 hit

６話ページ6

ーイゾウsideー

綺麗な満月の夜はいつも

俺はあの場所にいた。

甲板の人気のないところ。

そこにいればハルタが走ってきて

俺と一緒に月を見ながら話をした。

俺の話はあいつにとって新鮮で面白いらしく

いつもキラキラした顔で

次は？次は？と迫ってくるのだ。

俺はその時間が何より好きだった。

その日も走ってくる足音がきこえて、

今日もハルタと話せるのか、

あのキラキラした笑顔を見せてくれるのかと

少し嬉しく思った。

でも、それは違っていた。

泣きそうな顔で俺に抱きついてきて

すぐに泣き崩れた。

話を聞いてみると

ティーチがサッチを刺したのに

ハルタが刺したことにされ

それを誰も疑わなかったそう。

普通ならここで信じてくれなかった家族を

恨みせめることだろう。

でもこの家族大好きっ子は

自分をせめるのだ。

守れなかった己の非力さや、

言い返せなかった弱さを。

声をころして泣くハルタに

胸がぎゅうっと締め付けられる。

あぁ、憎い。

ハルタを陥れたティーチが。

あぁ、腹が立つ。

ハルタを信じなかったマルコやエースに。

どす黒い感情が心を支配していく。

それを少しでも阻止するために

ハルタの頭を撫でた。

「大丈夫だ。俺はハルタを信じる。
ハルタはそんなことしないもんな。」

「うん」