満月の夜に【ワンピース】 (ページ2)

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２話ページ2

ーハルタsideー

「守れなかった……僕の力が足りないばかりに」

虚ろになる僕を嘲笑うかのように

皆とティーチの声が降ってきた。

「どうしたんだ？！」

「ハルタ隊長が、サッチ隊長から
実を奪おうとして刺した。」

「ハルタ……」

ねぇ、マルコ。信じてくれるよね？

僕たちずっと一緒にいたんだよ？

「なんてことしてんだよぃ！」

「あんなに仲がよかったのに！！」

「家族だと思ってなかったのか？！」

マルコ、僕はサッチを助けたかったんだよ。

エース、僕はサッチと仲よかったけど

裏切ってなんかいないんだよ。

ビスタ、僕は皆を家族だって思ってた。

勿論今だって思ってるよ。

なんて言葉さえも口から出なかった。

怖かったんだ。

もし、この言葉さえ否定してしまったらと

考えたら言えなかった。

だから、僕は走り出していた。

今ここにはいない、僕の唯一の理解者の元へ。

僕たちの秘密の場所へ。

満月の夜、彼はいつもそこにいる。

甲板の隅の人の少ないところ。

月が見やすく静かだからという理由で

彼のお気に入りの場所だった。

いつもはお酒を飲みながら話をする。

彼の話は僕の知らないことばかりで

全ての話が僕にとってはキラキラ輝いていた。

そんな思い出の場所なんだ。

今日みたいな憎たらしいくらい美しい

満月の日ならきっとそこにいるはずだ。

走って向かう。

やっぱり彼はそこにいた。

「……………イゾウ」