私を知っていた彼は。 ページ4
.
....何故、こんな状況になったのだろうか。
私は今、公園のベンチに、石川祐希君と二人っきりで座っている。
それはたった数分前。
南部監督にウチに来ないかと言われ、色々と話を聞く途中で現全日本代表である石川祐希君が現れた。
そこまでは良かった。
だが、南部監督はこう言って、何処かへ行ってしまったのだ。
「...おっと、すまないね。午後から会議があったんだった。それを言いに来てくれたんだろう、石川」
「あ、はい」
「午後から君達はオフなのにわざわざすまないね。あぁ、良かったら二人で同期だし何か話してみるといい。お互い、良い刺激になるだろう。...じゃぁ、佐々木。良い返事を待っているよ」
颯爽と立ち去った南部監督。
先程まで凄まじい程の内容の話をしていたのに、呆気なく監督は何処かに行ってしまって、つい腰が抜けてしまった。それに、全く絡みの無い彼と二人きりにするとは。
同期だからって、石川君は私の事を知ってる訳ないだろうし。
そう考えていると、黙っていた石川君が何やら頭をボリボリと掻き出した。
「...えーと、佐々木Aさんで、あってるよね?」
何処か照れたように彼はそう言った。
私の事を、知っている?
『あ、うん。知ってるの?..私の事』
「そりゃ、史上最強のプリンセスガールって、呼ばれてたから」
...あぁ、そうだった。石川君は私と同い年だから、必然的に高校の頃に会っているのか。会っているかは定かでは無いけれど、名前ぐらいは耳に届いてるのだろう。
現に私も彼の事は中学の頃から知っている。
才能溢れる彼は、バレー界では特に注目されてきた選手だからだ。
「実は、さっきの南部監督の話聞いてたんだけど」
『....うん、』
「俺は、是非来てもらいたい」
石川君は真剣な表情でそう言った。
「俺、佐々木さんの事結構知ってるんだけどさ。同じスパイカーだし、それに佐々木さんは色んなポジションも出来るって聞いてたから。それに、マネージャー業もピカイチだって事も、高校の時に聞いてて」
『.....』
「....まぁ、色々あったと思う。佐々木さんも、本当に辛いと思うし。でも、俺は佐々木さんが前みたいにバレーと関わってほしいと思ってる。だから、男子しか居ないとこだけど、佐々木さんが良いのなら、俺達のアドバイザーやマネージャーになってほしい」
彼の瞳は、何処までも真っ直ぐだった。
.
320人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
だっちゃん。(プロフ) - いちごさん» いちごさん、ありがとうございます!!新作も更新始めましたので、良かったら読んで下さいね♪ (2015年10月3日 23時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 石川くんがかっこよすぎて鼻血出そうです笑とても面白い小説で読み返したりしてます!!更新頑張ってください!応援してます!! (2015年10月3日 22時) (レス) id: 0b19d9cc97 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - noenさん» noenさん、ありがとうございます!!頑張って更新していきます(*^_^*)! (2015年9月29日 9時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
noen(プロフ) - 面白くてニヤニヤしながら読んでます。私山内さん好きなんですけど、頭くしゃくしゃはヤバいですね。これからも頑張ってください! (2015年9月27日 11時) (レス) id: 8b4359b2e6 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - 黒兎さん» 黒兎さん、ご指摘ありがとうございます!!直させて頂きました、これからもよろしくお願いします(*_*)!! (2015年9月23日 23時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:だっちゃん。 | 作成日時:2015年9月23日 14時