ただの挑発では無く。 ページ17
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今日から二週間の合宿が始まった。
9月になれば、オリンピックをかけたワールドカップが行われる。それはやはり、全国の人にバレーの素晴らしさを伝え、そして日本のバレーが世界に通用すると言う事を感じさせたい。
日本の世界ランクはまだまだ低くて。此処20年、ずっと上位になっていない。でも、今年のチームは違った。史上最強とも言われた逸材が居て、サーブ力に長けた選手も居て、そしてオリンピックを知る先輩も居る。
その中でも俺は、バレー経験すら少なくて、世界の舞台を知らない。それでもNEXT4と言うメンバーに監督が俺を推薦してくれ、ただ、俺と言う存在を、沢山の人に知って欲しかった。
世界と、戦いたい。
だから今は、頑張るのみである。
そんな時、彼女は再び俺の前に現れた。
彼女は、今まで出会って来た女子バレー選手の中で、ダントツ一位の実力を持っていた。
高校の頃に出会い、試合で会えば話し、その頃から俺は彼女の事を気になっていた。
彼女が怪我でバレーを辞めたと知った時は、本当に辛かった。
そして、彼女は全日本男子バレーのマネージャーとしてやってきて。久しぶりに会った彼女は、あの頃より更に綺麗になってて。
あぁ、やっぱり俺は彼女が好きだったのか、と思った。
それから彼女と沢山話したり、遊びにも誘った。彼女はただの遊びと思っていたけれど、奥手の俺にとっては充分すぎる積極性で、デートと思っていた。
彼女とは、高校の頃からの知り合いという事もあり、誰よりも彼女の事は理解しているつもりだった。
でも、合宿に入って、彼女と祐希の仲が更に良くなっていると気付いた。
それに、この全日本に来たのも、ほとんど祐希のおかげだと言っていた。
祐希は、俺の知らない彼女を、知っているのかもしれない。
それを感じた時、どうしようも無く彼女を独り占めしたかった。
彼女に、気付いて欲しかった。
俺は、誰よりも君の事が好きだよ、と。
「A」
『どうしました?晶大君、っわ!』
周りに選手達が居るのにも関わらず、気にせず彼女の頭を撫でる。抱き締めてやりたいけど、それはさすがにダメだろうし。
わしゃわしゃと頭を撫でれば、彼女はくすぐったそうに笑っていた。
...その笑顔、好きだな。
『...頭になにか付いてました?』
「んーん」
遠くから、祐希は此方を見ていた。
まるで、宣戦布告のように。
Aの頭を撫で続けた。
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だっちゃん。(プロフ) - いちごさん» いちごさん、ありがとうございます!!新作も更新始めましたので、良かったら読んで下さいね♪ (2015年10月3日 23時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 石川くんがかっこよすぎて鼻血出そうです笑とても面白い小説で読み返したりしてます!!更新頑張ってください!応援してます!! (2015年10月3日 22時) (レス) id: 0b19d9cc97 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - noenさん» noenさん、ありがとうございます!!頑張って更新していきます(*^_^*)! (2015年9月29日 9時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
noen(プロフ) - 面白くてニヤニヤしながら読んでます。私山内さん好きなんですけど、頭くしゃくしゃはヤバいですね。これからも頑張ってください! (2015年9月27日 11時) (レス) id: 8b4359b2e6 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - 黒兎さん» 黒兎さん、ご指摘ありがとうございます!!直させて頂きました、これからもよろしくお願いします(*_*)!! (2015年9月23日 23時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だっちゃん。 | 作成日時:2015年9月23日 14時