温かい涙はいつぶり。 ページ15
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「.....A」
スパイクを決めた後、反対のコートに居た祐希が小走りでやってくる。
私は、泣いていた。
「.....大丈夫?」
『.......うん。でも、何だか、不思議で。何で、泣いてるのかも、分からない』
スパイクは綺麗に決まったのに。
何でこんなに涙がボロボロと出てくるのだろうか。
「......Aは、多分嬉し泣きなんじゃない?だって、あんなに怖かったのに。なのに、本当に綺麗なスパイクだった」
『...っ、』
祐希が頭を撫でてくれ、涙を拭ってくれる。
優しい手付きで、何だか更に涙が溢れた。
嬉し泣き。
きっと、それで間違えない。
そもそも、涙を流したなんて、いつぶりだろうか。あの時、怪我でもうバレーと向き合えなくなった時。一度だけ、泣いた事がある。悔しくて悔しくて、ずっと泣いていた。
それ以来、泣いた覚え何てなくて。本当に、嬉しくて泣くなんて、いつぶりだろうか。
コートに、立てた事。
ボールを、触れた事。
トスを、上げた事。
サーブを、打てた事。
スパイクを、打てた事。
全部が嬉しくて、また戻ってこれたんだと思えて、あの頃の様な感じがして。
涙が溢れた。
『ありがと、祐希』
「...いや、Aが頑張った事だし」
『...でも、明日から合宿だし。しばらくずっとバレーと向き合わなくちゃいけなかった。だから、祐希はバレーしようって言ってくれたんだよね?』
「...うん。やっぱり、Aの分まで頑張るって言ったけど、でも、これを機会に、Aにはまたバレーを好きになって欲しかったから」
『..うん、ありがとう。本当に』
再び向き合う事が出来たバレー。
私はやっぱり、バレーが、好きだ。
でも、もう、きっと選手としてコートには立てないけれど。それでも、それでもやっぱりバレーが無いといけない。
それを教えてくれたのは、紛れもない、祐希だ。
彼が居てくれたから、彼のバレーが、きっと私を此処まで連れて来てくれた。彼の笑顔が、私を支えてくれてた。
私が、支えないといけないのに。
『...私、祐希達の、祐希のサポート、頑張るから。ずっと、支えていくから。だから、』
「ありがとな。一緒に、跳んで、一緒に夢、叶えよーな?」
『...うん!』
彼は本当に不思議だ。
彼のおかげで、私は本当に生かされているような気がする。
この想いは、何なのか。
気付くのは、まだまだ先の話。
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だっちゃん。(プロフ) - いちごさん» いちごさん、ありがとうございます!!新作も更新始めましたので、良かったら読んで下さいね♪ (2015年10月3日 23時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
いちご - 石川くんがかっこよすぎて鼻血出そうです笑とても面白い小説で読み返したりしてます!!更新頑張ってください!応援してます!! (2015年10月3日 22時) (レス) id: 0b19d9cc97 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - noenさん» noenさん、ありがとうございます!!頑張って更新していきます(*^_^*)! (2015年9月29日 9時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
noen(プロフ) - 面白くてニヤニヤしながら読んでます。私山内さん好きなんですけど、頭くしゃくしゃはヤバいですね。これからも頑張ってください! (2015年9月27日 11時) (レス) id: 8b4359b2e6 (このIDを非表示/違反報告)
だっちゃん。(プロフ) - 黒兎さん» 黒兎さん、ご指摘ありがとうございます!!直させて頂きました、これからもよろしくお願いします(*_*)!! (2015年9月23日 23時) (レス) id: 3d4c419dfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だっちゃん。 | 作成日時:2015年9月23日 14時