第２８話〔粉々〕 ページ17
ピリ｢ま 砂漠の王様がいなくなったら砂漠がなくなるかわかんないけど｣
章大｢何を行ってるん？｣
ピリ｢砂漠の王様については分からないことばかりだし、砂漠はいったい何で王様の目的は何か？誰も知らんのサ｣
章大｢なんで？｣
ピリ｢王様は砂漠にしか現れないから会えないし｣
章大｢砂漠へ行けばええんちゃう？｣
ピリ｢そりゃ無理だね オイラ砂漠へ行けないもん｣
章大｢なんで？｣
ピリ｢足の裏が熱くて熱くて｣
章大｢そう？｣
ピリ｢ならオメーは行けるかもサ
確信はないけどもしかしたらサ
そうだあいつも砂漠へ行こうとしてたなぁ｣
章大｢砂漠へ行く人を見たことあるん？｣
ピリ｢ひょっとしてオメーも砕けたりする？｣
さっ
ピリ｢ううーむ...似てるなぁ｣
章大｢君の出会ったその人も砕けてたん？｣
ピリ｢うんオメーよりもだいぶ砕けてたサ
それでオイラが転がしたんだ｣
章大｢転がす？｣
ピリ｢うん こーやって｣
章大｢転がしたの？｣
ピリ｢どんだけ面倒くさくて大変だったと思う？｣
章大｢なんで転がしたの？｣
ピリ｢なんで？｣
章大｢うん｣
ピリ｢え...となんでかって...｣
ピリ｢無かったんだ 手足が｣
章大｢は？｣
ピリ｢何してんだ？｣
『うん？』
『転がしてくれるかい？』
ピリ｢転がす？｣
『うん』
ピリ｢ホッ！｣
ピリ｢ヨイショッ！｣
ピリ｢こう？｣
『気をつけてよ...』
ピリ｢どこまで？｣
『砂漠まで...』
ピリ｢ヨイショッ！｣
あいつは転がってでも砂漠へ行こうとしてたサ
理由はわからんけど
章大｢それで砂漠へ着いたの？｣
ピリ｢いやダメだった｣
章大｢なんで？｣
ピリ｢砕けちまったサ｣
章大｢砕ける？｣
ピリ｢正確には『砕ける前に』やめたんだ
なんか言ってたけどサ｣
章大｢なんて？｣
ピリ｢えぇとー...｣
章大｢よく思い出してよ...｣
ピリ｢あ！思い出した！｣
章大｢で？なんて言ったの？｣
ピリ｢思い出したのサ｣
章大｢何を思い出したの？｣
ピリ｢名前を｣
章大｢名前？｣
『私の名前...』
『私の名前は...』
ピリ｢それで粉々になっちまったサ｣
章大｢は？｣
ピリ｢オメー薄くなってるけど？｣
章大｢え？｣
ピリ｢すごいことできるな｣
章大｢あれ？｣
章大｢まだ消えちゃいけないのに...｣
ピリ｢どうした？｣
章大｢え？｣
ピリ｢また濃くなった｣
章大｢消えなかった｣
ピリ｢うまいうまい｣
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作者名：すいーーつ | 作成日時：2017年7月4日 23時
