ちはやふる～藤岡東高校かるた部！～ (ページ11)

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こんにちは、福井南雲会　Ⅲ ページ11

「「よろしゅうお願いいたします。」」

対戦相手に礼、百人一首読み上げCDに対して礼をする。礼に始まり礼に終わる。これは競技かるた選

手にとって当然のことだ。

「なにはづにさくやこのはなふゆごもりいまをはるべとさくやこのはな。」

練習場に緊張が走る。

「いまをはるべとさくやこのはな。あｋ・・。」

パンッ

「きかぜに・・・。」

神代の先取で始まった、神代VS伊織の戦い。栗山先生は最初、憲一、千笑、理沙を見るつもりだった

が、神代の見せた驚きの速さに、驚かないわけがなく、すぐに釘付けになった。

音速で神代が伊織陣から取った札は、「あきか」

ちなみに「あきか」とは、この歌の決まり字。決まり字とは、そこまで読まれればその歌を特定でき

る字のことだ。

神代の送り札は・・・・・「しの」

これは、現クイーン・京都府在住の高校３年生・若宮詩暢の得意札だ。

「もれいづるつきのかげのさやけさ。ここ・・・。」

パパンッ

神代陣にあった「こころに」と「こころあ」を伊織は渡り手を使って攻撃しようとした。が、渡り

手を使う刹那の差で、神代はピンポイントに当たり札の「こころあ」を取っていた。

この神代のテクニックに、栗山先生は感嘆の声を漏らす。

「クイーンの感じが良なったバージョンか。是非とも新君や村尾君と戦うてもらいたいな。」

「あの、先生。心の声が駄々洩れです。」

ウソ～！と驚いている栗山先生をよそに、神代と伊織は血と汗握る熱戦を繰り広げていた。

「おきまどはせるしらぎくのはな。・・・ｆ。」

パンッ

「ふくからに・・・。」

「またやられた。」

と伊織は呟く。

ちなみに、今のは伊織陣の札を神代が取ったため、送り札が発生する。

神代は「つき」を送る。神代は、伊織陣の「つく」と渡って取るつもりなのだろうか。

ここから10枚弱は一進一退の攻防が続き、神代陣16枚、伊織陣18枚になった。差は2枚。

伊織はいつもより苦しい状況になっている。

それは、福井南雲会所属の女性選手の中で一番強いのは伊織だからだ。それに、準クイーンのプライ

ドもあり、この状況をなんとかしなくてはという思いがのしかかってきているのだ。

「ひるはきえつつものをこそおもへ。・・・わがい・・・。」

パンッ

「おは・・・・。」

伊織の得意札の「わがいおは」すら取り負けるという珍しい状態なのだ。

得意札を取られた悔しさで集中力が途切れた伊織は、神代に15枚差で負けたのだった。