仮恋人〜折原臨也〜

はぁ？ ページ17

病院に着いてから私は指定された部屋に飛び込んでいった。
あんなに嫌なのにこうなるとどうしても心配で仕方なくなった。

「お、お母さん……」

「あら、A。どこ行ってたのよ？もう！ダメじゃないのぅ！」

やっぱり。怒った時のお母さんと何かが違う。人が違うっていうか、うん。そんな感じ。

「大丈夫？」

私がいつもみたいに笑ってお母さんに問いかけた。

お母さんも笑顔で、笑顔で、笑顔で……









「ダメみたい」

と一言。

「はぁ？え？お母さん？え、大丈夫でしょ？」

私はよく分からなくなって疑問符ばかり並べ立てていた。

「何かね、もう長くないかもって。でね、預けないといけないのよ。貴女を。」

「預ける……？」

「そう。ほら、施設とか。福祉園なんてどうかしら？お友達いっぱいいるわよ？」

お母さんはにこやかな顔して言った。

「やだ。そんなとこ、行きたくないっ！」

「そんなとこってね……。イイトコよ？ご飯もあるし、楽しいし。どうかしら？」

あくまでも、人事と言わんばかりに捲し立てるお母さんを見て、涙が出た。

「なんで泣いてるの？私なんか言ったかしら？貴女は貴女として生きなさいよ。ねぇ？」

突き放すように言う。あくまでも、笑顔で。

「そしたら……」

私は口走っていた。

「暴力ともおさらばなのかな？」

言ってしまった。と焦りながらお母さんを見た。


けど、お母さんはただ笑顔で

「暴力？なんのことかしらね。そんな目にはあわないわよぅ！今までだってなかったじゃないの」

そうだ。お母さんは暴力を振るってることも気づいてないんだ。覚えてないんだ。

「施設は嫌なんでしょ？じゃあ､どうしょうかしら？」

「あの」

すぐ後ろで声がした。

「俺でよければ預りましょうか？」

言ってなかったんですねっ→←えっ！？

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