イチから…… ページ32
宏太side
光がいないだけで、時間の流れが遅く感じて。
もう既に、起きてる間の時間の感覚が狂い始めてる
んだけど……(苦笑)
今日は、きっと今頃記憶を失くしてしまってる
であろう光の元へ行く日。
光を、迎えに行く日。
涼「あ、王子様…。出掛けるんですか?」
宏「あぁ、涼介」
俺に声をかけてきた涼介の顔を見れば、
パッと見では分からないけど、少し腫れてる。
泣いた、のかな…。
あえて、触れはしないけれど。
宏「ちょっとだけ、な。
大切な人に…逢いに行くんだ」
涼「王子様にも、大切な人ができたんですね」ニコッ
そう言った涼介は、優しく微笑む。切なく微笑む。
そして、俺は「うん。できたよ」って微笑む。
涼「その人のこと……どうか、手離さないで
あげてくださいね?」
そう言った涼介は、悲しく言った。
それに俺は、そっと頷いて「それじゃ、行ってくる」
とひとこと言って、城を出た。
.
光のいる城に着いて、案内しようとするメイドさんに
「ひとりで大丈夫です」と言って、
ひとり、光が待ってるであろうあそこに向かった。
アイビーの植物カーテンをくぐり抜けて。
黄緑に光る、滝を見つめてるきみに。
宏「あ、あの……っ!」
光「っっ?! え、、?」
ねぇ、光。
俺、
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作者名:希望(ひかり) | 作成日時:2021年4月20日 5時