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慧side
いつもの隠し通路の部屋になってるとこにある
椅子にボーッと、苦しそうな悲しそうな瞳で
どこかを見つめてる薮。
慧「薮?どうしたの?」
そんな問いかけに、「ん?あぁ、別になんも。」と
当然のように答えた薮にデコピンしてやった。
宏「おい、伊野尾!なにすんだよ!」
なんて、怒り出す薮に、
慧「薮が誤魔化すからでしょ〜?」
と言えば、呆れたように驚くように「は、はぁ?」
と薮は短く零した。
慧「光との、ことでしょ?」
そう言うと、薮は悲しそうに俯いて静かに
コクっと頷いた。
慧「まだ、溶けないんだ、よね……」
今は、光は大貴と外へ出てるから大丈夫だろうと
俺はそのまま会話を続けた。
宏「あぁ、もうどうすればいいかわかんねぇよ」
なんて、答えた薮は自嘲気味に笑った。
こっちが悲しくなるくらい、傷付いた目をして。
触れるたび、静電気みたいなやつが2人を襲う。
今となっては、30cmの距離内に入ってしまえば
その電気が2人を繋いで傷付ける。
慧「解く方法……見つかんないの?」
宏「あぁ、見つかんない」
なんて、また悲しげに笑う薮。
それがなぜか、俺の心まで締め付ける。
宏「俺……光を助けるって言ったのに……っ」
そう言った薮は、涙を流した。
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作者名:希望(ひかり) | 作成日時:2021年4月20日 5時