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宏太side
あれから、数週間が経った。
慧大さんは、伊野尾たちによると、体力も
気力も回復してきて、もうしばらくすれば
完治するそうだ。
それを聞いて、様子を見に行った親父と、光頼さんは
本当だと知ってものすごく嬉しそうだった。
でも、念のためだと今年の舞踏会は中止のまま。
来年からまた、再開するらしい。
それを聞いて、俺も伊野尾たちも嬉しかった。
そのときは、みんなでハイタッチした。
でも、光とだけはハイタッチができなかった。
未だに解けないあの呪い。
日を追う事に威力が増す静電気みたいなやつ。
それが恨めしくて、憎たらしくて。
毎日、光に会うたび「溶けてくれ」と願う日々。
触れたい、と我儘になるこの心。
いつものように、服の裾でいいから掴んでほしい
と我儘になるこの心。
なぜか、この呪いのせいで光と距離が開いたよう
に感じてしまう。
俺を見るたび、悲しそうに苦しそうに笑う光を
見るたび胸が痛んだ。
慧「薮?どうしたの?」
宏「ん?あぁ、別になんも。」
調弄して流そうとした途端、額に軽い痛みが
走った。
その原因は、すぐに分かった。
宏「おい、伊野尾!なにすんだよ!」
慧「薮が、誤魔化すからでしょ〜?」
宏「は、はぁ?」
なんだか、全て見透かされてる気がして
怖くなった。
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作者名:希望(ひかり) | 作成日時:2021年4月20日 5時