思考 ページ4
己の目的を果たすためなら邪魔なものは消し、適わぬものなら遠ざければいい。
そんな狡猾さは相も変わらず、仕えていた殿さえも毒殺出来てしまうほどの度胸があるなんて
野望、欲望に塗れた人間がすることなんぞ、共感してたまるものかと思わず手に力が入ればいつの間にか持っていた筆を大きな音を立ててへし折ってしまった。
「に、兄さん、どうしたの？大丈夫？」
弟の伊作が心配そうな顔で覗き込む。
眉の寄った顔なんて見せないようにと笑顔に切り替えればバレなかったか伊作もにっこりと笑った。
『大丈夫だ、また力がついたかな？』
「これ以上つけないでよ…」
『はは、すまない』
少し考えてから静かに立ち上がる。
不思議そうな顔をする弟に 少し出る、と一言だけ置いて部屋を出た、気づけば穏やかな昼だった。
裏山へと足を運んで滝の下へと体を滑らせた。
水の落ちる滝、音が酷くあの日のいくつかの音が脳内をよぎっていた。
『……』
仇を、取るべきか否か。
今頃になってやっと冷静になれたかと自分の先走った感情に嫌気がさした。
目を開けてみれば、流れる水と水滴。
やり返してやりたい、と子供じみた考えが頭に浮かんだところで滝の下から抜け岩に腰かける。
全てを終わらせる時、そんな時に冷静さや寛容さ、人としての心が、そこまで必要だと思うか？
Aは力いっぱい水分を含みすぎた布を絞った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し - お兄ちゃんは伝説の剣豪！から読ませていただいている者ですが、貴方の小説が大好きです！！貴方の小説が好きすぎて何回も読んでしまいます。続きをとても楽しみにしているので、よろしければまた書いてはいただけないでしょうか？でもご無理はなさらないでください。 (12月29日 21時) (
レス) id: 728f0713e4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：レレイト | 作成日時：2023年1月23日 16時
