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エスコートされるままに、向かった先は
あまりお客さんの多くない静かなカフェ
正直ホッとした。人が多いところは苦手だから
刻「飲み物、何がいい?」
『えっと…ホットラテで』
刻「じゃあ俺もそれで」
飲み物が届くと、可愛らしいラテアート
わ、可愛い〜、と声を漏らしたのは彼のほうだった
なんとも無邪気で、装った感じはない
どこまでも素直なのか…本当の顔を隠すのが上手いのか…
どちらにせよ、他人の心をくすぐるのが上手だと思った
せっかくのラテアートを崩してしまわないように
ゆっくりと口に運ぶ
ミルクの甘さと、コーヒーの苦味
___もう少し甘いほうが好きだな…
刻「……ねぇ、なんで、男の人が嫌いなの?」
彼の質問はどストレートで、
もっと他に言い方なかったのかとも思ってしまう
けれど、まぁ、気になってしまうのは当然だろうし
男嫌いを克服するためにも、知ってもらう必要があるはずで
『…高校生の時、付き合ってた人がいて、、、』
目の前にいる彼の顔を見ることが出来なくて
両手に持ったマグにだけ視線を向けながら
昔の話を、彼に話した。
時々、視界の端でマグを持ち上げて
中身が減って戻ってくるのが見えて
姿は見れなかったけど「うん」「そうなんだ」と
声に出して相槌をうってくれる
それだけでも、普段なら緊張して震える声が
今日はスムーズに出てきてくれて
全部話し終わった時には、少し気持ちがスッキリしていた
刻「そっかぁ、そりゃ男怖くなるよね〜
二面性?って言うの?俺も色々経験したから分かる
急に態度がコロッと変わるから エッ!?ってなるよね」
そうか、女性を相手に紳士に対応するこの人も
色んな人と接する中で似たような経験を…
ちらりと顔を見ると、その時のことを思い出していたのか
ものすごく渋い顔をしていた。綺麗な顔なのにもったいない
刻「あ、目が合った 笑」
見ていることに気付くと、嬉しそうにニコニコする
_____肌艶良すぎて、ほっぺた光ってる…
一方の私は、全然どうでもいいことを考えていた
刻「…………あ、」
『…………?』
なにかに気付いた彼は、ゆっくり私の方に手を伸ばして
驚いて、石のように固まる私の口元から
ラテの泡をそっと指で拭うと
刻「泡、ついてたよ。可愛い…」
なんて、甘く微笑んでみせた。
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作者名:抹茶あずき | 作成日時:2024年2月16日 21時